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世界初の「アジア知的財産判例検索システム」が本格始動
早稲田大学・知的財産法制研究センターが構築
[2004/11/10]

 文部科学省が採択した研究拠点である早稲田大学COE《企業法制と法創造》総合研究所の知的財産法制研究センター(Research Center for the Legal System of Intellectual Property : RCLIP)が,「アジア知的財産判例検索システム」を2004年10月に本格始動させた。同システム制作に当たっては中国,インドネシア,タイが協力し,この3国に加え日本の重要知財判例の要約と講釈を英文に翻訳の上,データベース化している。同システムはウェブサイト上にて無料で公開されており(http://www.21coe-win-cls.org/rclip/db/search_form.php),11月現在,約30件(タイ)の判例を検索できる。
 知的財産法制研究センター所長である早稲田大学法学部教授の高林龍氏は,同システムについて,「商用データベースに匹敵するレベル」と説明し,「2004年度中に約200件の判例を公開する」との意向を示した。

2004年3月23日に早稲田大学で開催された「タイ判例データベース企画会議」にて
2004年3月23日に早稲田大学で開催された「タイ判例データベース企画会議」にて握手する早稲田大学教授・高林 龍氏(右から3番目)と握手するタイ王国・中央知的財産国際貿易裁判所長官(当時/右から4番目)パトラサック氏。
(写真提供:早稲田大学RCLIP)

2004年度中に200件の重要判例要約と講評を収録
 早稲田大学知的財産法制研究センターは,2003年に学術的,各国制作立案において重要になるアジア地域の知財判例のデータベース化を開始,まず中国,インドネシア,タイの協力を得て,この3カ国の重要判例に関して要約と講評を英文に翻訳して公開することになった。特にタイについては,タイ王国を挙げた全面的協力を得ている。
 同センターはアジア知的財産判例システムをウェブサイト上で公開しており,誰でも無料で利用できる。今回の本格始動に際しては,タイの判例約30件を先行的に公開した。2004年内に中国の判例を収録・公開し,2004年度内に約200件の判例を収録する予定。
 知的財産法制研究センターでは,将来的に当初3カ国以外のアジア国家における重要判例の収録を計画しており,「アジアを代表する知財判例データベースとして,世界的規模での研究に寄与することを目指す」(同センター)という。

判例の選考には現地国の専門家が協力
 アジア知的財産判例システムは,国,裁判所,事件番号,判決年月日,権利種別,訴訟分類など,判例データベースで代表的な複数検索条件を指定することができる。検索結果を一覧で表示でき,そこから各判決などを探す。
 タイについては,「タイ王国英語データベース委員会」が2004年7月に約30件の要約・英訳した判例を提供した(11月現在公開中のもの)。その後,約100件の要約・翻訳が完成しており,順次公開される予定である。
 中国については,中国の知財権判例をまず,(1)北京地域の特許権判例,(2)商標権判例,(3)著作権判例,(4)上海および周辺地域の知的財産権判例,(5)広東地域の知的財産権判例,の5つの領域に大きく分類した上で,北京大学などの研究者からなる現地プロジェクトチームが,膨大な量におよぶ判例から最重要判決(北京特許権50件,北京商標権50件,北京著作権50件,上海知的財産権全般60件, 広東知的財産権全般60件)を選出する作業にあたった。
 インドネシアについては,インドネシア最高裁判所, インドネシア司法人権省など協力を得て, データベースに収録する判例の選定と概要リストが作成されている。
 以上に加えて,データベースには日本の知財関連判例も収録される。これまで,特許・意匠法,商標・不正競争防止法,著作権法から各100件を英語に翻訳をするべき判例として選別している。
 なお,2004年11月15日に早稲田大学で開催される「アジア研究フォーラム」で,高林氏による同システムのデモストレーションが実施される(詳しくはこちら)。

一般参加者も聴講できる「RCLIP研究会」などを開催
 早稲田大学知的財産法制研究センターの活動は大分して3つから成り立ち,上記の(a)データベース構築に加えて,(b)アジア諸国において知的財産に精通した若手研究者の育成,(c)独立系シンクタンクの立場に基づく知財に関する政策提言,を実施している。具体的には,2003年12月に,東京地方裁判所との「日米知的財産模擬裁判」共催や,2004年3月に「IPエンフォースメント in アジア」と題したシンポジウムの開催の実績がある。このほか,定期的に「RCLIP研究会」を設けており,既に開催された4回の研究会では,「クレーム解釈」,「大学からの技術移転ポリシー」,「職務発明の相当の対価」,「国際裁判管轄権と準拠法」をテーマとして取り上げてきた。研究会には一般の参加者も聴講できる。「第5回RCLIP研究会」(2004年12月15日/18:00〜20:00)では,弁護士,ニューヨーク州弁護士の福井健策氏が「著作権制度における法改正の方向を探る〜パロディ作品への対応」を報告する(詳しくはこちら)。
(河井貴之=日経BP知財Awareness編集)


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