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東京理科大学,筑波大学,信州大学の3大学は,それぞれが保有する特許(未公開特許も含む)で,ある特定分野ごとにそれぞれが持つ特許を組み合わせた「特許群」を構築し,企業が技術移転を受ける可能性を高める試みを検討していた。ある製品開発や事業向けに必要な特許を複数組み合わせることで,技術移転を促進する可能性を高める戦術である。 従来は,それぞれが個別に各企業に特許を紹介していた。しかし,企業がその実施権ライセンスを受けたり,共同研究の起点にするには膨大な手間がかかっていた。 この複数大学が保有する特許を組み合わせた特許群の有効性を調査するために,三菱化学テクノリサーチは理科大などの3大学を中核とする複数大学の協力の基に,特許群の技術移転可能性を調査した。中核となる3大学に,さらに静岡大学,電気通信大学,東京工業大学,日本大学の4大学の特許を組み合わせて構成する許諾を,各大学や関係するTLO(技術移転機関)などから得て,モデル特許群を構築した。 具体的には,「計測装置」「駆動装置」「燃料電池」「健康食品」などと,多くの企業が関心を持ちそうな特定分野ごとにモデル特許群を構築する基礎調査を実施した。特許群の有効性を検討する目的で,参加大学の担当者と数回研究会を開催し,特許群の在り方を解析した。基礎調査の結果,有力な特許を核とした「計測装置」と「ナノ素材」の2つの特許群が中堅・中小企業を含めた多くの企業の関心を集めると判断し,この2つの特許群の有効性を調査した。 「計測装置」特許群に関する調査結果 画像処理を中心とする「計測装置」特許群は距離計測や位置検出についての理科大の特許に,電通大と筑波大の同様の特許を組み合わせ,さらに個人認証についての理科大と静岡大の特許を組み合わせた。これに,画像処理についての理科大と静岡大の特許と画像入力についての電通大の特許を組み合わせ,画像解析処理の高速化と高速移動体の検出などに向けた特許群を構築した。特許群を構成する特許の件数は14件で,この中には未公開特許3件が含まれている。三菱化学テクノは,計測装置特許群を関東経済産業局管内の企業約300社に提示し,約半数から「関心がある」との回答を得た(有効回答率は22%)。さらに13社にヒアリング調査を実施し,「共同研究を検討したいなどの感触を得た」という。 「ナノ素材」特許群に関する調査結果 カーボンナノチューブ(CNT)を中核とする「ナノ素材」特許群は,信州大のCNT製造法に筑波大と電通大,静岡大のCNT製造法を組み合わせ,信州大のCNTの分散化技術や複合材料化技術に同様の筑波大と理科大の特許を組み合わせ,さらに用途として電界放出型ディスプレー(FED)などについての信州大,筑波大,理科大,日本大が持つそれぞれの特許を組み合わせて構成した。特許群を構成する特許数は18件であり,この中には国際出願特許2件が含まれている。 この特許群を同様に企業約300社に提示した結果,約1/3から「関心がある」との回答を得た。さらに13社にヒアリング調査を実施し,「実施権ライセンスに関心があるや共同研究を検討したいなどの感触を得た」という。この結果,「各企業の事業ニーズに合う特許群を構築できれば,技術移転の可能性が高まるとの感触を得た」という。ただし,各企業の個別のニーズと,特許群の構成内容をどこまでマッチングさせられるかなどの具体的なやり方は今後の検討課題となった模様だ。 また,今回の調査から,各企業は大学の研究成果そのものへの関心の方が,各大学が保有する特許に対する関心を上回るとの回答を得て,その原因分析に迫られている。 (丸山正明=日経BPプロデューサー) |
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