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提供:株式会社レイテック
第1段階は,「トラブルシューティングの段階」あるいは「臨床的知財管理の段階」である。この段階の企業は,例え知的財産を管理する専門部署を持っていたとしても,実際に行っている活動は,研究開発部門が生み出した発明の特許出願作業,他社からの警告書対策,ライセンスの申し入れへの対応など,発生した問題の後処理がほとんどである。 第2段階は,「リスクマネジメントの段階」である。後手後手の対応から,トラブルを発生させないためのマネジメントへの進化であり,知的財産に関する社内諸規定の整備,全社にわたる知的財産活動組織の整備,社員に対する徹底した知的財産教育によって,トラブルシューティングからリスクマネジメントへの転換を図ることができる。 第3段階は,「戦略的知的財産管理の段階」である。この段階の企業は,自社事業をサポートするパテントポートフォリ構築のための活動が系統的に進められており,事業戦略,研究開発戦略,知的財産戦略が有機的な連携をもって組織的に展開されている。 筆者の感覚的な理解では,日本の企業の多くは,第1段階から第2段階に進む途上にあり,一部の先進的な企業が,第2段階から第3段階に進む段階,そして第3段階に到達している企業は,ごくわずかと言えるのではなかろうか。 図9 ![]() 一方,筆者は,「研究者の知的財産レベル」を図る物差しとして,図10を用いている。レベル1の研究者は,熱心に研究開発に取り組んではいるものの,自分の技術にしか興味がないため,特許調査も行わず,特許出願も怠りがちである。このような場合,いざ研究開発が成功して目指す技術が完成したとしても,蓋を開けてみると,すでに他社から特許出願が行われていて出口が閉ざされている,ということになりかねないのである。 レベル2の研究者は,ある程度の知的財産教育を受けており,他人の特許を侵害しては開発品を市場に出すことができないし,自分の技術を特許で守らないと他人の模倣を招くことを知っている。つまり,自分の技術に関連する領域については特許調査を怠りなく行い,自分の発明は確実に特許出願することができるので,研究開発に成功した暁には,特許で守られた製品を市場に出すことができる。ただし,彼の製品が売れるかどうかは別の問題である。より優れた品質,より優れた機能を持つ製品がより安い価格で他社から販売されれば,彼の製品が市場で成功することは当然期待できない。 レベル3の研究者は,自分の開発した技術の事業化への可能性に大きな注意を払っている。従って,自分の技術に関連する領域はもちろんのこと,代替技術,競合技術の可能性についても配慮しながら幅広く特許調査を行い,研究開発の軌道修正,他社技術への対策を含めた特許出願を行うことによって,自分の製品が市場で優位に立てるよう配慮を続けることができる。そのため,彼の製品が市場で成功する確率は高い。 筆者は,講演あるいは教育の際,「技術者の知的財産レベル」の話をし,「ところで皆さんはどのレベルですか?」とたずねてみることにしている。今まで,レベル3を自認する研究者は皆無であり,レベル2でも稀であった。 この物差しは,先に述べた企業の知的財産活動のレベルと対応していると言えないだろうか。 個々の研究者の努力だけではレベル3の研究開発活動を展開することは,実は至難の業である。特許情報の収集と解析,特許性と侵害性に関する適切な判断,それらに裏付けられた特許出願計画,障害他社特許対策の推進を行うための十分な支援体制が必要だからである。そのような支援体制を有する企業こそ,第3段階の知的財産活動を展開している企業と言うことができよう。 「戦略的データベース」の構築を中軸に据えた知的財産活動こそ,企業の知的財産管理レベルを第3段階に引き上げ,研究者の知的財産活動レベル3を保証するものではないか,と思う次第である。 図10
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