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「ネット時代に対応した著作権法制度を整えることが必要」
角川グループホールディングス代表取締役会長の角川歴彦氏が指摘
[2008/06/19]


 「ネット関連技術の進歩に対応した著作権法制度を整える必要がある」。NPO法人エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワークが開催した第5回シンポジウム(2008年5月31日開催)で角川グループホールディングス代表取締役会長の角川歴彦氏が指摘した。コンテンツ産業の振興に尽力してきた同氏は,コンテンツ・ビジネスの広がりを総括した上で,ネットでのコンテンツ流通やネット・ベンチャーの振興を後押しする法律である「ネット法」新設の意義を述べた。以下は同氏の基調講演の要約である。
(まとめは品田茂=日経BP知財Awareness編集)

写真:講演の様子
講演の様子
デジタル・ネットワークが新しいコンテンツ・ビジネスを生む
  著作物を利用したビジネスにはいくつかの形態がある。映画業界を例に取ると,映画館で映画を上映するのが1次利用である。これに続き,映画をDVDなどのパッケージ形態で販売やレンタルするのが2次利用である。DVDの販売やレンタルは,すでに映画会社にとって大きな収益源の1つになっている。
  さらに近年,デジタル・ネットワークの進展によって新しいビジネスが誕生しようとしている。ネットによる新しいコンテンツ流通である。「You Tube」や「ニコニコ動画」といった動画投稿サイト,携帯電話向けコンテンツなどは,デジタル・ネットワークによって誕生した“3次利用”ともいえる新しい形態である。角川グループでは,これらを新たなプロモーション・メディアと位置付け,コンテンツの広告宣伝などに活用している。これらのメディアを積極的に活用することで,コンテンツ産業の飛躍的な発展が期待できるのではないか。デジタル・ネットワークを活用した3次利用はさらに進化し,コンテンツに関するダウンロードによる販売,ストリーミングによるレンタルなどが間もなく実現しようとしている。このようなコンテンツのビジネス展開をささえているのが著作権法である。

著作権者の拡大と同時に著作権侵害の件数も増加
  またデジタル・ネットワークの進展は,一般のユーザーが著作権者になる現象を引き起こしている。例えばパソコンは,かつてはユーザーがコンテンツを受け取るためのツールだったが,今では,ユーザーが制作したコンテンツを配信するためのツールへと用途が拡大した。これによってユーザー自身が著作権者になると同時に,思わぬ著作権侵害を引き起こす例が発生するようになってきた。昨今問題になっているYou Tubeやニコニコ動画への投稿も,権利者の許諾を得ていない楽曲などを利用したコンテンツである。
  コンテンツ事業者は,各サイトを運営する企業に対して“どうすれば合法的にサイトを運営できるか”というシナリオを提示して,ビジネスに生かすべきである。個人的には,「日本市場で合法的に動画投稿サイトを運営するためには,日本音楽著作権協会(JASRAC)などの権利者団体との提携が不可欠」との見解を持っている。動画投稿サイトを運営する各社は,日本での合法的なサイト運営を担保するために,各権利者団体と包括利用許諾契約を結ぶなどの動きを見せている(関連記事)。

コンテンツ・ビジネスの発展に寄与する法律が必要
  様々なコンテンツ・ビジネスを後押ししてきた著作権法であるが,現行著作権法は1970年に制定されており,ビジネスの形態の広がりに対応するのが難しくなってきた。著作権法は出版業界などの各業界団体の意見を集約して作り上げたため“法人のための著作権”という傾向が強い。先述した一般人が著作権者になるという事態を想定していないからである。
  一方,ネットを利用したコンテンツ・ビジネスは,日本では違法となる可能性が強いため,起業に二の足を踏む起業志望者は多い。ネット上でのコンテンツ流通の違法性を解消し,日本のコンテンツ・ビジネスのグローバル化を促進しなければならない。そのためには従来の著作権の原理・原則を見直し,時代に適合した法制度を新しく設計する必要がある。その法制度の一例が,ネット上でのコンテンツ流通を促進する目的で提案したネット法(注)である(関連記事)。


(注) デジタル・コンテンツに関する法律や政策を研究する民間研究団体「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」(代表:八田達夫氏 政策研究大学院大学学長)が提案している法律である。ネット上での流通に限定して放送事業者や映画制作者,レコード製作者などに権利を集約,手続きを簡素化してコンテンツの流通を促進するのが狙い。



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