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九州大学大学院,2009年4月に知の統合を目指すユーザー感性学専攻を新設
[2008/09/16] |
九州大学大学院は平成21年(2009年)4月に「ユーザー感性学専攻」と「オートモーティブサイエンス専攻」の2つの専攻を持つ「統合新領域学府」を新設する計画だ。統合新領域学府を新設する目的は,学問分野が細分化されて生み出され続けた膨大な知識・知恵群の“知”を統合し再編して重要課題を解決するための科学的な“知”を学ぶ教育と研究を実践し,これを担当する人材を育成することである。九大大学院は「人・もの・こと・場に対する感受性に基づく総合的な人間の心の動きである感性の,感覚的,感情的,直感的,創造的な特性に注目して知の活用主体であるユーザー視点に立って人間を理解する教育と研究をユーザー感性学と名付けた」と説明する。九大は,このユーザー感性学による知の再編成によって,日本の大学・大学院を改革する起点にする構えだ。
九大は平成23年(2011年)に創立100周年を迎える。この節目を迎えるに当たって,21世紀向けの,技術だけではなく人間に密着した新学問を打ち立てるとの構想の下に,知の統合と再編成を実現するユーザー感性学専攻を新設する。同専攻は(1)感性科学,(2)感性コミュニケーション,(3)感性価値クリエーション,の3コースで構成される。「ユーザー」という人間を基とする視点に立って,人間の感性を基に自然科学と人文科学,社会科学などの多岐にわたる膨大な知を統合し再編成する学問である。文科省から2008年12月ごろに同専攻の新設認可を得て,新入生の募集に着手し,入試を実施する予定だ。
このユーザー感性学は,九大が平成16年度(2004年度)に設置した「ユーザーサイエンス機構」(USI,機構長は梶山千里総長)がルーツになっている。同機構は,文部科学省の科学技術振興調整費の戦略的研究拠点育成プログラム(通称,スーパーCOE)によって設置され,平成20年度(2008年度)までの5年間にわたってユーザーを基盤とした技術と感性の融合をめざす“ユーザーサイエンス”を追究してきた。また,同機構は産学連携による共同研究も多数実施した実績も持つ。現実の問題を解決するという点では,企業やNPO(非営利法人)などでの実践活動を重視するため,産学連携につながる視点を重視しているからだ。九大は同機構を工学や芸術工学,人間環境学,心理学,医学などの多様な学問分野を融合した組織とした実績を基に,多様な研究院の融合・学際領域として統合新領域学府を新設する計画である。
ユーザー感性学の入学者希望者に対して,さまざまな問題を学際的に解決し,社会に研究成果を還元したいという意欲を持ち,社会変革のリーダーの役割を果たす意欲を持つことなどを強く求める。同専攻の共通過程では,PTL(プロジェクトチーム演習)・インターンシップが7科目設けられる。専門課程である(1)では「感性人類学」「人間発達学」などの12科目,(2)では「生涯発達心理学」「認知体験過程論」などの12科目,(3)では,「次世代感性産業論」「ブランド価値創成論」などの13科目が設置される見通しだ。同専攻の修了資格は36単位以上修得することとなる予定だ。
ユーザー感性学専攻の2009年4月の入学定員数は修士課程に合計30人,すなわち各専門科目コースの定員を10人とする計画だ。10月入学選抜も予定されている。通常は2年間で修了するが,場合によっては1年で修了できるカリキュラムにする見通し。専攻を支援する「ユーザーサイエンスセンター」という組織も設ける計画である。
(丸山正明=日経BP産学連携事務局)

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