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なぜ経営者から課題をもらうのか 経営者から課題をもらうのは,経営者,もっと言えば組織のトップにある人とそれ以外の人とでは価値観や視野,洞察力に大きな違いがあるからです。私が受講生に感じてもらいたいことは,経営者が持っている ・自分が責任をとる覚悟 ・独善であってもことを進める信念 ・視野の広さ の3点です。こういう心持ちからかもし出される「人としての力」,「魅力」,「エネルギー」を感じてもらうのが受講生の役に立つと考えるからです。そういう人に接することで,「生き方のゴール」のようなものを感じてもらえると思います(もちろん肩書きが経営者であってもそういうことを感じさせない人もいます)。 なぜ,「課題」をもらうのか 経営者に接するだけなら,講演をしてもらうだけでもよいかもしれません。しかし,講演だけでは,なかなか真剣に議論する時間を共有できません。経営者から普段の会社経営で困っていることを課題としてもらい,それに応える姿勢を受講生の側が示すことで初めて,経営者が受講生に切り込んでくれます。 経営者からは課題に対する自分たちなりの提言を持ってきた受講生チームに対して経営者からはこんな言葉が返ってきます。 「皆さんがんばられましたが,現実のビジネスからはあまりにも遠すぎるので特にコメントはありません」 「皆さんは大物です。こんな話を私にするのですから。皆さんのアイデアの大半はGoogleで検索したら見つかるものです」 「もっと夢がある自由な発想を聞けるかと思っていた」 全くほめてくれないのです。ほとんどの受講生は,それまでの人生,何かやれば「よく頑張った」と言われてきています。ここで初めて「大したことない」とはっきり言われるのです。経営者は自分が求めたことに対して受講生が労力を使って応えてくれたので,取りつくろわずに本当のことを言ってくれたのです。受講生にとっては身が引き締まる思いがする一瞬です。 「経営者」から聞く「大儀」と「チームワーク」 ばっさり切られた後,多くの場合,経営者から各チームについて簡単なコメントが語れます。その後,経営者は自分の体験から大事だと思うことに話を変えます。時間がない中,途中まで仕上げてきた提案に助言するより,これから,どう生きていくべきかについて話す方が価値があると思われたからでしょう。 ここで出てくるのが「大儀」と「チームワーク」です。 「大儀」 大儀というのは大義名分の大儀です。「自分がなぜそれをやるのか」「なぜやらなくてはならないのか」「なぜそれが正しいのか」ということです。何かを成し遂げようとすると時間がかかり,困難にも直面します。一緒にやってきた仲間と考えが合わず,たもとを分かつこともあります。それを乗り越えてやっていくには揺るがない信念が必要です。揺るがない信念など普通はあまり持っていません。難しい状況に陥った時に,考えて,悩んで,どう考えてもこれが正しいと思う方向に舵を取ります。その行き着いた考えが大儀です。 「チームワーク」 一人でできることには限界があります。何かを成しとげるにはたくさんの人に手伝ってもらわなくてはなりません。しかし,ただ,人数が集まっただけでは,お互いの考えを伝え合うのに時間がかかってしまい,かえって生産性が低くなります。一人ひとりが別々にやるよりも,チームになってやることで生産性を高めるようにしなくてはなりません。チームには大きな可能性があり,一人ひとりでは成し遂げられなかった大きなことをやれることもあります。そうなるようにするのがチームワークです。 参考書籍
柴田英寿
2002年から2006年まで日本知財学会理事。2002年から5年間,東京大学先端技術研究センターにて特任教員,非常勤講師としてアントレプレナーシップ論の前身講座を開講。知的財産権の研究会であるビジネスIPRとして韓国の同種団体IPMSとの交流や知財ゲームの普及などを展開。毎週水曜日朝に開催する朝食会(赤坂ブレックファーストクラブ)も有名。著書,寄稿多数。株式会社日立製作所勤務。著者ポータル。 |
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