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チームが直面する大きな問題は,「メンバーのやる気の違い」です。 メンバーが全員,チームでの活動を最優先してくれるなら問題はほとんど起こりません。メンバーごとにチームに割ける時間と熱意が違うので問題が起こります。メンバー間のやる気の違いにはいくつかの対処の仕方があります。 (1)やる気が低いメンバには辞めてもらう やる気がないメンバーを辞めさせていてはチームのメンバーが減ってしまいます。そうしたら戦力ダウンになるようにも思えます。実際はやる気がないメンバーがいると余分な負担がチームにかかるので,やる気が低いメンバーには辞めてもらうのが1番良い方法です。人数が足りないことが絶対的に問題であれば,やる気がある新しいメンバーを探して入ってもらう方が良いという考え方です。 (2)やる気が低いメンバのやる気を高める これも不可能ではありません。やる気がないメンバーの気持ちを良く聞いて,チームで活動することでどういう良いことがその人に起こるのかを説明します。やる気が低いメンバーには二つのタイプがあります。一つは,いつも,どんなこともやる気が低いタイプです。もう一つは,他にやりたいことがあるタイプです。どんなことにもやる気が高まらないのにチームに参加してくる人もいます。そういう人のやる気を高めることは簡単ではありません。ひょっとするとその人にとって人生で初めてやる気をもってことにあたる場面になるかもしれません。人生で初めて,やる気を出すことの気持ちよさを知ってもらいましょう。 他にやりたいことがある場合は,本来は,チームから抜けてもらって自身のやりたいことに邁進してもらうのがよいでしょう。前述の(1)にあたります。あえて,他にやりたいことがあるメンバーであっても,どうしてもチームにいてもらいたい場合は次の(3)の対応をすることになります。 (3)メンバー間にやる気の差があることを認める チームの生産性が高まらない可能性を残すことになりますが,メンバー間のやる気の違いを認める進め方もあります。非常に難しいチーム運営をあえて選択することになります。難しさを抱えることが逆にチームの絆となって,チーム運営が安定することもあります。 やる気があるメンバーはどうするか もし,自分にはやる気があって,他のメンバーにやる気がない状況になったらどうしますか。 当たり前のことですが,「やる気になってくれることを信じてメンバーの心に火をつけて回る」しかありません。「なんで自分がそんなことをやらなくてはならないのか」と思ってしまってはチームを再生することはできません。アントレプレナーを目指す人がメンバの心に火をつけられなくては何もできません。 やる気が出ないメンバーは,「湿った薪」のようなものです。乾いている時にはとてもよく燃える燃料なのですが,今は湿ってしまっているのです。ですからなかなか火はつきません。自分がどんなに熱く燃えても湿った薪を燃やすことはできません。少しずつ温めて,乾かして,自分で燃えてもらわなくてはなりません。私はアントレプレナーの仕事のほとんどはこの湿った薪を温めて自力で燃えるようにしていくことだと思います。例え湿っているとしても自分の身の回りに薪があることに感謝すべきです。メンバーがいるということだけでもありがたいことなのです。実は,自分自身も他のメンバーからは湿った薪だと思われているかもしれません。あっちでもこっちでも湿った薪同士が少しずつ温めあっていけば,いつか,強力な炎となって燃え上がります。これがチームの目指すところです。
柴田英寿
2002年から2006年まで日本知財学会理事。2002年から5年間,東京大学先端技術研究センターにて特任教員,非常勤講師としてアントレプレナーシップ論の前身講座を開講。知的財産権の研究会であるビジネスIPRとして韓国の同種団体IPMSとの交流や知財ゲームの普及などを展開。毎週水曜日朝に開催する朝食会(赤坂ブレックファーストクラブ)も有名。著書,寄稿多数。株式会社日立製作所勤務。著者ポータル。 |
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