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柴田英寿のアントレプレナーシップ論 オープンスクール


アントレプレナーシップ論オープンスクール〜第13回〜
事業戦略と事業計画

[2009/10/13]


 戦略と計画の違いについてアントレプレナーシップ論講座オープンスクールの中で議論になったことがありました。
 戦略と計画は違うものだという視点を持てたことはすごいことだと思います。

 きっかけは,ある会社からの課題が,「計画より戦略を考えてください」というものだったことでした。

 この会社からの課題は良く考えられたものでした。課題を三つのステップに分けてくれていたのです。
(1)技術の将来動向を予測してください。
(2)その技術を使ってどういう事業戦略をとるべきかを考えてください。
(3)その事業戦略を実現していく過程を計画にしてください。

 その注釈として,「計画までは考えられなくてもいいので戦略を考えてください」とあったのでした。

 一般的な戦略の定義は,「外部環境(世の中の動向)」と「内部環境(会社の強みや弱み)」を分析して,どうすれば競合に勝てるか考えるものというものです。そして,戦略があって,それを実現する過程を考えたものが計画です。「将来動向」は「内部環境」を考えずに「外部環境」だけを考えたものと考えることもできます。

 戦略というのであれば,将来動向と自社がどう関係を持つかを考えることになります。関係を持たなくても問題ないので無視するとか,将来動向のなかで主要なプレーヤーになるとか,小さいながら確固たる位置を確保するとか,いろいろな関係のもち方があります。

 こう考えを進める際に,自社のリソースの制約があまりない場合は,実質的に,自社を考えずに戦略を考えることもあります。一般的に外食産業はこういうやり方で進められることが多いです。技術の会社は技術課題を解決できないことが多いので,リソースの制約を重視することが多いです。

 発想を広げるために,技術の将来動向を考える間は,自社の制約を考慮しない進め方もあります。

 戦略と計画は漢字で表現すると,「戦いの計略を画く」ということなので一つになってしまいますが,英語にすると戦略はStrategy,計画はPlanとなり,語源,語感に違いがあります。Strategyの語源はStrategosで,武将の合議の場を意味するものでした。PlanはPlanAが失敗したらPlanBというように,進め方を複数用意しておく語感を持っています。英語では戦略は,戦い方について関係者(メンバー)が合意した内容,計画は合意した内容を実現する方法というように違いがはっきりわかります。

 戦略は,「あの山の方から攻めよう」というようなメンバー間での合意,計画は「そのためにはいつまでに何丁の鉄砲を山のふもとまで誰がどうやって運ぶのか」という戦略を実現するためのこまごました作戦というイメージです。

 実際に業界で仕事をしているわけではない受講生に対して,細かい作戦までは考えなくてもいいので,どうやって戦えば勝てるのかまでは考えて欲しいというのが出題者の意図だったのです。


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柴田英寿
柴田英寿氏 2002年から2006年まで日本知財学会理事。2002年から5年間,東京大学先端技術研究センターにて特任教員,非常勤講師としてアントレプレナーシップ論の前身講座を開講。知的財産権の研究会であるビジネスIPRとして韓国の同種団体IPMSとの交流や知財ゲームの普及などを展開。毎週水曜日朝に開催する朝食会(赤坂ブレックファーストクラブ)も有名。著書,寄稿多数。株式会社日立製作所勤務。著者ポータル




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