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ブログや「フェイスブック」など、個人が手軽に情報を発信できる手段が普及し、それに伴って様々な法的問題が発生する危険性が増えてきた。例えば、個人がレストランを訪れ、そこで出た料理について感想を書き、料理の写真とともにインターネット上に掲載する行為はもはや日常的に行われている。また、最近は個人だけでなく、企業もブログや「フェイスブック」などをビジネスに利用する例が増えており、ホームページのビジネスへの利用は既に一般的になっている。そのような行為に関してどのような法的問題が起こり得るのか、西村あさひ法律事務所弁護士の洲桃 麻由子氏に聞いた。
(聞き手は、テクノアソシエーツ 朝倉博史)
――インターネットを使った情報発信手段が多様化し、個人や企業が管理するホームページやブログなどに写真を載せることが多いと思いますが、法的にはどのような問題が発生する可能性があるのでしょうか。 例えば、画家の描いた絵を写真に撮り、その写真を許可なく個人が管理するホームページ、ブログ、「フェイスブック」などに掲載することは、「引用」(著作権法32条1項)などの例外的ケースを除き、その画家が持つ著作権を侵害する行為となります。具体的には、写真をサーバーに記憶させる複製行為による複製権侵害(著作権法21条)が成立し、またホームページなどへの掲載は著作物を公衆に送信する行為として公衆送信権侵害(著作権法23条)となります。 ――個人的にしか利用しない場合は特別な扱いにならないのでしょうか。
個人的な「私的使用」の場合、複製行為については著作権侵害とならないとする権利制限規定(著作権法30条1項)があります。「私的使用」に当たるためには、著作物の使用が「個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」である必要があります。また、公衆送信権侵害については、極めて限定的なアクセス制限をかけ、一家族などごく限られたメンバーの間でのみ閲覧できるというような場合は、「公衆によって直接受信される」(著作権法2条1項7号の2(公衆送信の定義条項))に該当しないので除外されます。ただ一般的には、インターネットを利用した情報発信手段は不特定多数の人が見ることができるケースがほとんどだと思います。そのような場合には権利者の許諾を得る必要があります。 ――レストラン回りをして料理を写真に撮って載せることは問題ないのでしょうか。 レストランの料理は、とても美しい盛りつけがされていることも少なくないので、グルメをテーマにしたブログなどでは、一般人がレストランで提供された料理を写真に撮り、記事としてアップすることが頻繁に行われています。著作権法上、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義されています(著作権法2条1項1号)。料理自体や料理の盛りつけは通常、思想や感情を表現したものではないので、著作物とはなりません。従って、レストラン側の許可を得ずに料理の写真を撮って記事に掲載しても、著作権侵害行為とはなりません。例外的に食べ物を素材とした芸術品で、それ自体が美的鑑賞の対象となるような場合(例えば一部の飴細工など)は著作物となる余地があります。また、著作権侵害にはならなくとも、レストラン側の意向に反する度が過ぎた撮影は、程度にもよりますが営業妨害に当たる可能性があります。そこまで行かなくとも、レストラン側はそのお店のオーナーなどの管理権が働く場所ですので、写真撮影がレストラン側の意向に反する場合には、写真を撮る客に退店を求めることができると考えられます。 ――店の中でしゃれたデザインの椅子を見つけ、それを写真に撮って載せることは。 椅子のような実用品は、一般的に前述の著作物の定義で述べた「文芸、学術、美術または音楽の範囲」に入らず、著作権法の保護を受けないと考えられています。過去の事例として、椅子のデザインについて、それ自体が実用面および機能面を離れて、完結した美術作品として専ら美的鑑賞の対象とされるものとはいえないことを理由に、著作物性を否定した判決(最判平成3年3月28日平成2年(オ)706号)があります。そのような実用品のデザインの権利は意匠権で保護すべきということです。ただし、意匠権は著作権と異なり、保護を受けるには登録が必要となります。また、意匠権登録がされた対象物を写真に撮ってブログに掲載しても意匠権侵害とはなりません。もっとも、前述のように、写真撮影がレストラン側の意向に反する場合には、レストラン側は客に退店を求めることができると考えられます。 ――シェフや他の客の顔写真を載せるケースもあると思いますが。 許可なく人の顔写真をブログなどに掲載する行為は、肖像権を侵害し、不法行為となる可能性があります。有名なシェフの場合は、顧客を引き寄せる経済的な価値を保護するパブリシティ権の侵害となる可能性も出てきます。また、一般客の顔写真については、あえてその人をフォーカスして写真を掲載するような場合は、その日時にその場所にいたことを公にし、その人物の私生活の一部を暴露する行為となり、プライバシー権の侵害として不法行為となる可能性があります。たまたま写ってしまったような場合は、(不法行為の要件である)違法性がない、または故意・過失がないという理由でセーフとなる場合もありますが、写真の内容(明らかにその人と特定できるか)や撮影の状況次第では、過失であっても不法行為となる可能性を全く否定することはできません。 ――そのほか、関連して注意すべきことはありますか。 インターネットを使った情報発信が簡単にできるようになり、誰でも気軽に自分の考えを公表できるようになりました。その一方で、深く考えずに見聞きしたことや自分の考えを掲載した記事が、他人の名誉を毀損したり侮辱したりする危険性もはらんでいます。場合によっては名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)に該当するような事態も起こり得ます。また、東日本大震災とそれに続く災害に関連して、悪質なチェーンメールや災害に便乗した宣伝広告目的の迷惑メールなどが出回っていることが問題になっています。広告目的であらかじめ同意を得ていない者に一方的に広告メールを送信する行為は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)に触れることになるので、注意が必要です。 |
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