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中国における海賊版対策を強化,「対処療法」から「予防」へ
デジタル著作権侵害のグローバル化とその対策(下)
[2006/06/21]

石井昭氏
コンピュータソフトウェア著作権協会 コンテンツ適正流通促進機構
専門官 石井昭氏
坂田俊介氏
コンピュータソフトウェア著作権協会 国際担当兼広報室
室長 坂田俊介氏
 2006年3月,イタリア・ローマ市内で,日本のアニメーションやゲームの海賊版ソフトウエアを販売していた3店舗を現地の財務警察が摘発した。この摘発に大きく貢献したのが,事前に現地で実態調査を実施していた,日本の社団法人であるコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)である。ACCSは1985年に設立され,日本国内におけるソフトウエアの不正使用摘発などで実績を挙げてきた。最近は,デジタル・コンテンツの急速な普及と市場の拡大に伴ってデジタル著作権侵害をめぐる状況も大きく変化し,その活動はグローバル化している。今回の摘発に至る経緯と,欧州やアジアにおける日本のデジタル・コンテンツ著作権侵害の現状について,同協会コンテンツ適正流通促進機構専門官の石井昭氏と国際担当兼広報室室長の坂田俊介氏に聞いた。
(聞き手は牧野安与,河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

デジタル・コンテンツの広がりが海賊版・模倣品問題にもたらす影響について,どう考えるか。


 インターネットの普及や,デジタル・メディアの増加によって消費環境が大きく変化し,それに伴ってわれわれの活動も変わってきている。会員企業の業種を見ても,1985年の発足当時はゲーム,ビジネス・ソフトウエア関連の企業がほとんどだったが,現在はアニメ,映画,出版,さらには,カー・ナビゲーションに関連する企業などが加わり,経済規模と関連領域の両方で拡大している。
 デジタル化の到来とデジタル・コンテンツの普及は,消費者の利便性を高め,いわゆるコンテンツ産業の振興に大きく貢献しているが,その一方で,複製が容易で,品質劣化が少ないため,海賊版や模倣品の被害が深刻かつ膨大になっている。今回のイタリアでの海賊版の摘発は,まさに端的な事例である。「日本のコンテンツが,東アジア諸国で不法にデジタル化・製造され,それがイタリアの市場で流通し,さらに欧州各国へインターネット経由で販売された」。こうした侵害の悪しき「グローバル化」に対応するために,われわれの活動も世界規模にならざるを得ない。
海外での活動の一環として,ACCSは中国における著作権侵害対応に注力していると聞く。具体的にはどのような取り組みを進めているのか。


 米国のソフトウエア団体のビジネス・ソフトウェア・アライアンス(BSA)の調査によると,2005年時点で中国に存在するビジネス・ソフトウエアの約86%が違法コピーだと言う。諸外国と比べても,中国は著作権,特にデジタル著作物の権利保護が十分ではないと指摘されている。日本では,ゲーム・ソフトウエア製作企業などが主体となって,5年ほど前から中国国内における海賊版・模倣品対策に取り組んできた。中国は国土が広く,市場規模も大きい。こうした取り組みは1社単独では困難な面があり,企業間の連携や団体,政府との協力が重要である(関連記事)。われわれのような組織の活動の意義はここにある。
 最近は,コンテンツ産業全般において,中国への関心が高まっている。それは,海賊版・模倣品の製造拠点としてだけではなく,高い経済成長を背景にした正規品の販売市場としても,中国を重視する企業が増えているからである。
今後の活動において,カギとなる取り組みは何か。


 われわれは上海に事務所を設置しており,現地の事務局員が百貨店やスーパーマーケット,書店に対して海賊版・模倣品の排除を呼びかける予定である。デジタル著作物だけではなく,漫画や雑誌など紙媒体での著作権侵害もいまだに横行しており,著作権を扱う中国の版権局と連携してこれら違法品の駆逐に努めている。
 今後に向けて,すでに流通している違法品への対策という「対処療法」だけではなく,海賊版・模倣品を許容しない市場や消費者の意識の醸成,「予防療法」が重要なカギになる。そのために,中国国内での著作権保護の啓発活動を積極的に進めていく。すでに,主に上海の大学生を対象に,著作権や情報保護を訴える講演活動を定期的に開催している。また,最近は中国国内においてもクリエイターなど著作権者が増えつつある。彼らも自国内の海賊版・模倣品の被害者であるから,こうした人々との連携を深めることが必要だろう。


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