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アジアにおける模倣品・海賊版対策で日本との協調を重視
フランス経済財政産業省・貿易担当大臣のChristine Lagarde氏が表明
[2006/02/28]

Christine Lagarde氏
フランス経済財政産業省
貿易担当大臣

Christine Lagarde氏
  フランス経済財政産業省貿易担当大臣のChristine Lagarde氏は,「第5回JIPA知財シンポジウム」(2006年2月22日,主催:日本知的財産協会)での講演において,「近年,模倣品・海賊版の高度化と市場のグローバル化によって被害は急速に拡大している」と指摘し,防止体制を強化する姿勢を示した。フランスは2004年に刑事罰の強化などに踏み切っており,さらに欧州連合(EU)加盟国と連携して模倣品・海賊版の摘発などに注力してきた。このような従来の活動に加えて,「アジア地域では日本との連携を強め,日仏共同でアジア地域の模倣品・海賊版製造国との対話を進めていく」(同氏)と表明した。Lagarde氏は弁護士としてBaker & Mckenzie法律事務所・パリ・オフィスに1981年に入所。同事務所の執行委員会議長などを務めてきた後,2005年6月にフランス経済財政産業省の貿易担当大臣に就任した。


模倣品・海賊版の被害は医薬品などバイオテクノロジー分野で深刻化
 従来フランスは,ファッション産業など主に高級ブランド品の商標権侵害の被害が大きかった。近年は特許権侵害などが急増し,「自動車や航空機の部品などにも被害が出ている」(Lagarde氏)。2000〜2004年で倍増した模倣品・海賊版の被害は,甚大な影響を経済環境に及ぼし,「フランス国内では約3万人,EU域内で約20万人分の雇用が失われた」(同氏)。
 最近は,医薬品などバイオテクノロジー分野における被害が深刻化しており,「アフリカ大陸で使われる医薬品の80%近くが模倣品の可能性がある」(同氏)という。このような状況から,フランス政府は模倣品・海賊版の被害が「人々の直接的な健康や生命の危険を及ぼすほどに拡大している」(同氏)とみて強い危機感を持っている。

模倣品・海賊版製品に関する罰則を2004年に強化
 フランスは,個人の模倣品・海賊版の保持をも罰する知的所有権法(通称ロンゲ法)をはじめとする厳格な法制を有している(関連記事)。加えて,「ユニオン・デ・ファブリカン」や「コルベール委員会」など民間組織の活動が歴史的に盛んであり,国際的に模倣品・海賊版対策における先駆的な存在といえる。しかし,増え続ける被害に苦慮しており,2004年6月にフランス政府は新たに総合的な対策を打ち出すに至った。
 フランス国内の税関における取り締まりでは,職員の増員や数値目標を設定して,「2004年単年に約300万点の違法製品を押収した」(同氏)。法制度の整備と執行強化では,違法者に対する懲役刑(最高)を2年から3年に,罰金(最高)を15万ユーロから30万ユーロへそれぞれ引き上げた。さらに組織的なグループ犯罪には罰則を加重し,懲役刑(同)を5年,罰金(同)を50万ユーロにしている。
 こうした活動とともに,フランス政府は一般市民への啓発活動を積極的に進め,2004〜2005年の広報費を10倍に増やしたという。「模倣品・海賊版の購入は『共犯行為』になるだけではなく,消費者の生活そのものに悪影響を及ぼすことを訴えている」(同氏)。

アジア地域における模倣品・海賊版対策では日本との協調行動を重視する
 フランスは,自国内での対応に加えて各国との連携を通じた模倣品・海賊版の撲滅活動を展開している。「EU地域は加盟国間で情報を共有するなどネットワークを広げている。2005年5月に実施した取り締まり活動にはフランスを含めて全加盟国から250名の税関職員が参加し,国際空港・港湾などの水際において約200万点の違法製品を押収した。世界75カ国のフランス大使館に知的財産の専門家を配置し,現地国との2国間対応のほか,進出しているフランス企業からの相談に応じている」(Lagarde氏)。
 また,模倣品・海賊版製品の製造拠点が多いアジア地域においては,当事国の政府に取り締まりを要請したり民間向けのセミナーなどを通じた啓蒙活動を展開したりしている。また,Lagarde氏は「アジア地域における対応では日本との協調行動を重視したい」と述べ,日本との協調を重視する姿勢を示した。さらに,世界貿易機関(WTO)を通じた知的財産権の侵害防止にも言及し,「WTO加盟国にはTRIPs協定の遵守について,明確な行動の提示を強く求めていくべき」との考えを示した。

産業クラスターの形成などフランス国内の知財活動を積極的に推進
  Legarde氏は,「今後はグローバル経済の発展によって世界中で知財活動が活発化する」とし,フランス政府としては「模倣品・海賊版対策のような知的財産権の保護活動だけではなく,フランス企業のライセンス収益を増やすといった産業振興にも注力する」との意向を示した。そのための重要な施策目標として,(1)フランス企業による特許出願の促進,(2)産業クラスターの振興,(3)EU加盟国間の法制の整備,を掲げた。

(河井貴之=日経BP知財Awareness編集)



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