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中国・台湾・韓国への技術流出防止へ
「日本は“マーケット制御力”を身に付けよ」
[2005/06/02]

 日本メーカーの多くが中国や台湾,韓国への技術流出が止まらないことに頭を悩ませているが,この対策として日本メーカーは総合的な知財戦略を駆使した“マーケット制御力”を身に付けることが重要になってきた。テクノアソシエーツ 東アジア知財問題研究会が,このように指摘する。
 同研究会は,フラットパネル・ディスプレイ(FPD)をモチーフにして東アジアへの技術流出問題を調査・分析した。この結果,「日本からの技術流出が止まらない。これまでは,土曜日や日曜日に技術者が韓国や台湾に出掛けアルバイトすることで技術が流出していた。しかし昨今は,東アジア地域における定年技術者の採用,技術提携,日本特許の調査など様々な形によって,日本の最先端技術が流出していく。人件費・インフラ費などの差では,もはや日本製造業は立ち行かない。だからといって,ものづくりを止め,知的財産権を強化していく国は衰えていく。こういった状況の中,技術流出防止のために権利を行使することによってマーケットを制御することが重要になってきた。現在の日本は,知財部門だけの知財戦略ではなく,技術部門,事業部門,経営をも巻き込んだ総合的な知財戦略が必要である」(同研究会)ことが明らかになった。
 具体的には,技術流出または移転が完了すると,両社の技術レベルは同等になる。その段階でビジネスの優位性を確保するためには,特許権に基づく権利行使,または事業戦略を前提とする特許ライセンス契約などによるマーケットの制御が不可避である。そうだとすると,各国において,どのような形で権利行使できるかという点,またその前提としていかなる国に出願し,特許管理をするかという点も重要である。この点について,東アジア知財問題研究会は以下のように分析している。

特許訴訟戦略の盲点
 特許訴訟は多額の費用がかかるのでそれに見合ったマーケットが存在しないと費用倒れになる。また専門訴訟であり裁判官を含めこれに対応可能な人材が存在し,訴訟制度が施行されていないと,訴訟自体が成り立たない。国・地域としては,これらの条件を満たす必要がある。

韓台における権利行使の非合理性
 このような観点から各国を評価すると,現時点において台湾・韓国で権利行使を行う合理性はさほど高くない。台湾・韓国の両国に共通するのは,マーケットの規模が比較的小さいという点である。加えて,日本企業からすれば外国語による訴訟となるので,代理人との意思の疎通面にも問題が生じるであろう。また,台湾には特許訴訟に耐えるほどの実力を持った特許訴訟事務所は存在しないようである。

中国での権利行使の合理性
 他方,中国は裁判制度や特許訴訟人材という面では発展途上であり,また不透明さが残るる。しかし,マーケットが著しく膨大であることを考えると,訴訟地としての適格性を備えていることは疑いがない。ここ数年の日本企業の中国出願シフトには,目を見張るものがある。

日本企業のアジア訴訟戦略
 以上のことから,今後,日本企業にとってアジアにおける訴訟の主戦場は,母国語で訴訟ができ,訴訟人材や訴訟制度が安定していて,相当のマーケット規模を有している日本か,巨大なマーケット規模を有する中国かという二者択一になる。なお,以上の結論は,台湾・韓国の企業においても同様の認識のようである。自国出願の次に重要度を感じているのは中国であり,その後,日米であるという回答が圧倒的だった。

マーケット制御力獲得のための総合的な知財戦略の詳細を議論
 このようなマーケット制御力獲得のための総合的な知財戦略の詳細を5月30日に日経マイクロデバイスから発売される「フラットパネル・ディスプレイ2005 <分析編>」で,議論している。具体的には,リスク・マネージメントが遅れている日本企業,日本からの技術流出の実例〜技術流出の発生プロセスと対策〜,法的問題点から導き出される日本企業の対応のあり方,東アジアの知的財産法制度,強化される日本版経済スパイ法,技術流出防止指針〜意図せざる技術流出の防止のために〜,技術を活かし切る経営へ,LSI知財戦略が転換点,といった論点を議論している。

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