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研究開始前からの知財調査・標準化活動が重要 富士通が研究開発の国際競争化時代への対応急ぐ [2007/05/11]
市場の世界共通化と競争領域の上流化で研究開発がグルーバル競争時代に 世界各地の市場がオープン化し,さらに国際標準の拡大や有力企業の標準化活動の活発化が進んだことに伴って,市場の世界共通化が進んでいる。また製品の競争力は,従来の製品段階に留まらず,現在は研究開発段階にまで広がっている。この結果,研究開発が競争力の源泉との認識が広まり,研究開発に関する国家戦略を策定する国が増え,各国の研究開発費は増大している。 例えば,国家戦略に関しては,日本,米国,英国,ドイツ,フランス,フィンランド,オーストラリア,中国,インドなどが策定している。研究開発費は,日本が2005年時で過去最高のGDP比3.5%の研究開発費を投じ,中国は1995年から2004年までの10年間で研究開発費をGDP比率で0.6%から1.3%と2倍以上に増加させた。また,研究開発段階の成果である知財のライセンス市場も拡大しており,実際に2004年には世界の技術ライセンス市場は1000億米ドルを突破した。 デマンドプル型イノベーション,グローバル・ネットワークの強化などを推進 このような状況の中,富士通と富士通研究所は,研究開発のグローバル競争に打ち勝つため,(1)デマンドプル型イノベーション,(2)グローバル・ネットワークの強化,(3)パートナーとの連携強化,(4)知財・標準化との連携,の4点を重視した研究開発活動を展開している。 (1)のデマンドプル型イノベーションとは,研究者の自由な発想に基づいて生まれた研究開発成果をいかに製品化していくかという従来のサプライプッシュ型ではなく,研究開発段階から市場要求を意識して研究開発を進めるイノベーション・モデルである。具体的には,最終製品の出口である市場の要求を分析し,その要求に合わせて製品仕様を決定し,その上でその製品仕様に必要な技術を開発する,という3段階のステップで研究開発を進める。このような研究開発スタイルを導入することにより,研究開発のコスト削減や効率向上が達成でき,さらに新しいビジネス・インキュベーションが可能になった。 (2)のグローバル・ネットワークの強化に関しては,われわれは研究開発拠点を日本,米国,欧州,中国に持っており,従来はそれぞれが比較的独立して活動していたが,それをネットワーク化して研究成果の世界展開や研究開発の効率化を図るようにした。この典型例として,われわれが開発したブログ解析技術を挙げることができる。この技術は,ブログの膨大なテキスト・データから特定の製品やサービスの評判などの分析できる技術であり,日本の研究所で日本語向けに開発した。この技術を中国の研究所に渡して中国語版を開発,さらに中国語版を米国の研究所に渡して英語版を開発した結果,わずか2カ月でこれらを開発できた。さらに各国の研究所の研究成果は,別の研究所が現地で開催するフォーラム(技術発表会)で紹介,開発元の国では得ることのできないニーズの発掘や製品開発アイディアが獲得できるようになった。これらにより,研究研究成果の価値向上,研究開発の効率化,新規市場の開拓に効果を上げている。 (3)のパートナーとの連携強化では,委託研究から共同研究へと連携を強化し,その中で人材交流の推進やWin-Winなテーマ設定といった細部のレベルアップに努めている。これにより,開発分担による研究開発のスピードアップという,連携本来の効果をできるだけ引き出すようにした。またパートナーとしては,日本だけではなく,米国,欧州,中国の各大学や研究機関と連携を推進している。 研究開始前からの知財調査・標準化活動が重要 (4)の知財・標準化との連携に関しては,研究開始前からの知財調査・標準化活動が重要になっている。 このうち知財については,知財部が事業部門や研究開発部門と連携しながら,特許の側面から研究開発や事業戦略のフィージビリティ・スタディを行い,知財戦略を事業計画などの中に織り込んでいく。具体的には,まず調査テーマを策定し,次に検索ツールを使って対象特許を抽出・選別(スクリーニング)する。続いて分析ツール使って分析,最後に知財戦略を立案する。このうち検索ツールの「Pasnet」と分析ツールの「ACCENT/CiteFinder」はいずれも自社開発しており,われわれが独自開発したテキスト・マイニング技術を応用することで,従来は知財部員が手作業で行っていた作業を自動化・効率化,検索・分析作業の効率化を達成できた。 こうして得られた知財調査・分析結果および知財戦略を基に,事業の実現可能性や事業化した際の優位点・弱点などの把握,自社の技術開発の方向性・特許取得計画の立案,他社との共同開発などの連携可能性の検討,他社有力・要注意特許の侵害回避のための早期対策の実施,などを進めることになる。例えば,われわれは本体では事業規模が合わない技術はスピンアウトさせてベンチャーとして独立させる場合があるが,この際にも知財部は意思決定の一翼を担っている。 ![]() 2007年度 富士通研究所 研究開発戦略説明会 配布資料より抜粋 また標準化に関しては,近年は標準化のカバーする領域が,従来の技術スタンダードから業務プロセスや環境,品質管理まで拡大しており,その形態もデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)やデジュール・スタンダード(公的な標準)など多岐にわたっている。このような状況の中,われわれは広義の標準を重視しており,このための専門組織としてスタンダード戦略室を知財部内に設置した。国際標準化時代に対応すべく,各研究開発部門や事業部門などにも標準化活動のための人材を配置して全社的な活動を展開している。自社技術や特許を標準にする,あるいは標準の一部に組み込むことでグローバル化する市場において有利かつ強力に事業を展開するためである。 標準化戦略は,他社に先んじて動くことが重要である。例えばMPEGやH.264などの画像関連規格では,われわれはITU-TやISO/IECといった標準化団体が標準化を開始した1990年代当初から主要メンバーとして参加した。ライセンス管理団体であるMPEG-LAにもMPEG2/4,H.263,H.264,VC-1のすべてで必須特許を提出し,認定されている。また通信規格であるWiMAXにも,フォーラム設立当初からボード・メンバーとして参画し,マルチホップリレーといわれるIEEE 802.16jの標準化や第4世代携帯電話向けの次世代WiMAXであるIEEE802.16mの標準化についてわれわれの各地の研究所からエディタを輩出,多くの技術書類を提出することによって国際標準化に貢献している。また,中国が画像圧縮技術や通信規格,次世代携帯電話規格などで独自の国内標準を推進しているが,われわれはここでも中国国内の標準化活動への参画をしている。 |
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