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ソフトウエア特許に関する現状とその行方 弁理士・土生哲也氏に聞く(中) [2005/10/03]
本連載はソフトウエア特許に詳しい弁理士の土生哲也氏が,(1)ソフトウエア特許の定義と基本的な考え方,(2)ソフトウエア特許をめぐる現状の課題,(3)ソフトウエア特許に関する今後の方向性と実務上の留意点と活用方法,を解説する。全3回の連載で,今回は第2回である。 なお,本連載は2005年9月1日に実施された「最新ソフトウエア特許セミナー」(主催:日本IT特許組合)における同氏の講演と,後日のインタビュー取材を基に日経BP知財Awareness編集部がまとめたものである。 (まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 「ソフトウエア特許」の現状を読み解く3つのキーワード 日本におけるソフトウエア特許の現状は,(1)制度の運用,(2)出願傾向,(3)ビジネス関連発明,の3側面から検討する必要がある。 ソフトウエア特許は,他の分野の特許に比べ歴史が浅く,権利をめぐる法的紛争の事例も少ないため,運用や解釈が定着していない。モデル化すべき実務事例が少ないことに加え,ソフトウエア特許自体に対して賛否が分かれている。これを反映しているのか,特許庁による査定率と権利範囲を分析してみると,他の分野の特許に比べて抑制的な印象がある。 出願傾向については,ソフトウエア業界に属する企業では売上高に対する特許公開件数を見ると,大まかな傾向としては比例関係になっている。企業規模の大小を問わず,特許をほとんど出願していない企業群が存在しており,2極化傾向を示している。 「ビジネス関連発明は大幅減少」の裏側 ビジネス関連発明については,出願件数は2000年ごろをピークにして減少傾向にある(図表1)。しかし,審査請求件数(特許のみ)はそれほど減少していない(図表2)。さらに,技術分野ごとの出願傾向を見ると,2000年以降は電子商取引分野の出願が大幅に減少しているだけであり,そのほかの分野の出願推移に大きな変化は出ていない(図表3)。この電子商取引については,インターネットを活用したビジネスモデルを対象にしたものが多く含まれていた,と思われる。 図表1
![]() 図表2 ![]() 図表3 ![]() 出所:特許庁ホームページ 以上のデータから,2000年ごろをピークとするインターネット関連発明のブームが収束する一方,業務系システムなどに関する出願は,こうしたブームに関係なく,ある程度の出願が続いている状況が読み取れる。 「一過性のブームは去ったが,ビジネス関連発明に関する特許の成立は継続基調」 もう1つ,ビジネスに関連する発明部分を主な特徴とする出願に関する特許査定件数と拒絶査定件数の推移を示す(図表4)。 2000年以降,特許査定率の著しい低下に目を奪われ,「ビジネスモデル特許は意味を失った」と判断されがちだが,査定件数はほぼ横ばいであることに注目したい。毎年,特許権が認められなかったものが増える一方,特許権の成立件数はこの数年間にあまり変化していない。言い換えれば,ブームに乗って出願されただけの発明性のない特許は当然のように権利化されず,他方,ブームと関係なく出願された特許は,毎年着実に成立しているということである。 実務経験からいえば,ビジネス関連発明の審査は厳格化しつつも,成立する特許の方向性が明確化してきたと感じる。実際に権利化された特許を分析すると,権利範囲が実施態様に沿って非常に限定された権利になっており,対象となるビジネス自体をその特許権だけで独占することは困難である。判断が微妙な発明は,審査段階では難航する場合が多いため,権利化を強く目指すなら,審判段階まで徹底してトライするだけの覚悟が必要である。 図表4
![]() 出所:特許庁ホームページ (次回へ続く)
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