 |



知財法の最新動向を調査
中央知的財産研究所がフォーラムで報告
[2004/07/09]
日本弁理士会の付属機関である中央知的財産研究所は,7月1日の「弁理士の日」を記念して,公開フォーラムを開催した。日本弁理士会は,知的財産制度と弁理士制度を長期的な視点から調査・研究することを目的として,同研究所を1996年に開設した。今回のフォーラムでは,日本弁理士会の研究員と外部の弁護士・学識経験者が行っている共同研究の中から,知財法と知財訴訟に関する最新動向の研究を,2つの基調講演とパネル・ディスカッションを通じて報告した。
知財法と知財訴訟を検証
基調講演においては最初に,中央知的財産研究所の主任研究員で一橋大学大学院国際企業戦略研究科・教授の相澤英孝氏が,知的財産法に関する近年の動きをレビューして,今後の知的財産保護のあり方を論じた。相澤氏は「知的財産基本法の制定などシンボリックな改革を背景に,一種の知財ブームが起きた」と指摘した。こうした動きを評価する一方で,知財訴訟に関する環境整備など本質的な改革が「置き去りにされた」(相澤氏)分野について言及した。
|
 |

フォーラムで行われたパネル・ディスカッションの様子
|
次に,同研究員で弁理士の外川英明氏は,「物のパブリシティの権利」に関する研究を報告した。ゲーム・ソフトウェア中で所有する競走馬の名称を勝手に使われたとして,馬主がソフトウェア企業を訴えた2件の「馬名訴訟」を事例に挙げ,(1)パブリシティ権(肖像権,氏名権など)という新しい知的財産権の考え方,(2)パブリシティ権は「物」にも適用されるか,を中心に最高裁判決に至った訴訟の争点を解説した。
「最良のクレーム」とは何か
パネル・ディスカッションにおいては,中央知的財産研究所の研究員である早稲田大学法学部・大学院法務研究科・教授の高林龍氏,弁護士の松本直樹氏,弁理士の津国肇氏,弁理士・弁護士の田中成志氏,弁理士の江藤聡明氏の5名が,「最良のクレーム」をめぐって論議した。クレームを作成する弁理士の立場から,優れたクレームについての報告が行われた後,訴訟でクレームを解釈する弁護士や学者の観点から異論・反論が加えられた。発明者との関係から,良いクレームとは,「発明の思想を明確に抽出し,機能を幅広くとらえたもの」との意見が出る一方,最近の知財訴訟動向などから「機能的なクレームだけでは,訴訟時に“説明不足”で有効とは言えない」との指摘が行われて,議論は白熱した。
クレームを最良のものに近付けるための対応として,各パネリストは,(a)クレーム自体は簡潔でも明細書に実施例やサブ・クレームをできるだけ付すること,(b)先行例との関係を詳細に記載すること,(c)訴訟や審査に携わった経験がある弁護士や弁理士のチェックを受けること,などを挙げた。
(河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

|
 |





<過去の連載>

|