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【シリーズ】先進企業の知財戦略(1) 2005年6月,著作権に関する知財信託を本格的に開始 ジャパン・デジタル・コンテンツ信託 代表 土井宏文氏(下) [2005/06/24]
この5月27日に,ジャパン・デジタル・コンテンツ信託は信託業免許を取得し,知的財産信託の分野へ乗り出した。同社代表の土井宏文氏は,知的財産信託とコンテンツ・ビジネスの親和性が高いことを指摘した上で,「知財信託の普及によって日本のコンテンツ産業が大きく飛躍する可能性がある」との考えを示す。土井氏に,新たに始める信託業務の詳細と,同社が描く「知財の金融市場」の将来像を聞いた。 (聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)
信託業務への参入を期に「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託」に改称 2005年5月27日に,当社は信託業の免許を金融庁から交付され,新業務として正式に承認された。一般事業会社としては戦後初となる信託業免許の取得である。これに合わせて,6月13日に「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託」へと改称した。 私は,1997年に知財戦略を活性化するためには信託に関連する法制を改正すべきだと提言した。その当時から現在に至るまで時間はかかったが,知財信託が現実化し,普及が進む中で日本のコンテンツ・ビジネスはより大きく飛躍すると期待している。 「信託はコンテンツ産業に適している」 知財を信託財産にするメリットは主に2つある。1つは知財を流動化しやすくできることであり,もう1つは権利者が知財を元にして資金調達がしやすくなること,である。加えて,知財を信託財産として管理すれば,信託する側と受託する側のどちらかが倒産した場合でも負債と切り離することができることから,倒産リスクを回避する方法としても活用できる。 特許権と比較すると著作権はそれぞれ権利の独立性が高く,権利同士が干渉することが少ない。つまり,受託財産同士の「利益の相反」が生じにくいので,信託財産として扱いやすいと言える。さらに,複数の権利を1つの信託財産としてまとめることができるため,事業の形態や単位をベースにして信託財産を組成できる点で実務的である。具体的には,コンテンツのジャンル別や制作者単位に基づいて,複数の著作権を1つの信託財産として扱うことが考えられる。(関連記事) コンテンツ産業全般に及ぶコンサルティング能力が強み 従来,信託財産は土地,建物,金銭などに限定されていたため,信託の担い手は信託を専門とする一部の金融機関に限られていた。しかし,さまざまなモノ,サービスを信託財産として扱っていく上で,今後はそれぞれ事業分野の専門知識・ノウハウを持つ企業などが担い手になる必要がある。 当社は信託財産の管理・運用業務を開始するが,業務内容は従来と大きく変わることない。あくまで,コンテンツ産業全般に関する総合的なコンサルティング,アレンジメント業務の提供が主であり,信託は資金調達の手段として加わることになる。 「コンテンツを知財としていかに活用・管理するか」,「事業戦略,収益予測をどのように立てるか」。こうした顧客の課題に対して,当社は発足以来7年間におよぶ実績とコンテンツの制作から販売に至る豊富なノウハウをもって,解決策を立案する。当社には,コンテンツの制作現場に詳しいクリエイティブ業界の出身者と,金融スキームに詳しい金融業界の出身者をスタッフにそろえており,製作工程の管理から経営サポートまでのワンストップ・ソリューションで提供できる。知財信託業務においても,こうした当社の強みを最大限に生かしたサービスを心がけたい。 「“知財の金融市場”を創造していく」 従来,企業の資金調達は,銀行など金融機関による融資に頼る「間接金融」と,自ら株式などの証券を発行して資金を獲得する「直接金融」の“2元論”に基づいて成り立ってきた。しかし,ビジネス・モデルの多様化に伴って,資金調達の方法も多様化するべき時を迎えている。特に,中小・ベンチャー企業は従来よりもフレキシブルな資金調達の方法を強く求めている。知財を媒介とする金融市場の構築は,コンテンツ産業のみならず,中小・ベンチャー企業の振興という観点からも非常に有益だと言える。 先に述べてきたように,ファンドや信託は,資金調達のための方法つまり手段である。今後,取り組む案件が大型化・複雑化する中では,ケースごとに最適な方法を構築し,運営しなくてはならない。そのためにも,目的に応じた新たな方法を継続的に開発して,「知財の金融市場」が大きくなるための土台となるべきサービスを創り出していきたい。(前回の記事) 【シリーズ】先進企業の知財戦略 |
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