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著作権運用型の金融商品が本格化
JDC信託が「シネマ信託〜製作者ファンド第1号〜」を組成
[2006/04/07]

 ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)は,著作権などを信託財産として運用を図る金融商品,「シネマ信託〜製作者ファンド第1号〜」(以下,製作者ファンド)の組成を2006年3月30日に発表した。
 JDC信託はこれまで知的財産信託などを扱ってきた実績がある(関連記事)。今回は,2006年3月13日に日興コーディアル証券が取り扱いを開始したファンド総額50億円の「シネマ信託〜シネカノン・ファンド〜」に続く大型の信託商品という位置付けになる。ファンド総額は30億〜50億円,ファンド期間は2006年6月ごろから約4年間を予定している。
 シネカノン・ファンドでは,特定の製作会社(シネカノン)が製作した複数作品へ投資する形のポートフォリオで運用を行う。今回の製作者ファンドは,数々のヒット作品を手掛けた実績を持つ日本の映画製作会社5社(表1)が製作する複数の劇場用映画の著作権などを運用対象にすることで,「より効果的な分散投資とリスク・ヘッジを図っている」(JDC信託)。加えて,映画がヒットして収益が大きく膨らんだ場合には,「より大きなアップサイドを期待できる」とJDC信託代表の土井宏文氏は言う。

表1:製作者ファンドに参加した製作会社
製作会社 設立年 資本金 主な製作作品
葵プロモーション
1963年10月
33億2,390万円
『ナイスの森』,『レディー・ジョーカー』,『3年身籠る』
ウィルコ
1991年11月
1,000万円
『トニー滝谷』,『亀は意外と速く泳ぐ』,『イン・ザ・プール』
小椋事務所
1989年12月
1,000万円
『下妻物語』,『タナカヒロシのすべて』,『姑獲鳥の夏』
オフィス・シロウズ
1993年2月
1,000万円
『20世紀ノスタルジア』,『ナビィの恋』,『スクラップ・ヘブン』
セディックインターナショナル
1995年3月
1,000万円
『あずみ』,『NANA』,『蝉しぐれ』
出所:JDC信託の提供資料より抜粋。

信託財産化によって投資のコーポレート・リスクを分離・回避
 今回のファンドは,映画製作会社5社が今後1〜2年の間に製作を予定している劇場用映画,10〜15タイトルを投資対象にしている。
 各製作会社は映画作品を製作し,作品完成後,JDC信託に信託設定をして資金調達を行う,というのが大まかな流れである(図1)。具体的には,まず,各製作会社は映画作品を製作し,製作した映画作品の著作権をJDC信託に信託し,信託受益権の交付を受ける。次に,製作会社は,その信託受益権をファンドに譲渡して,その代金を受領する。フィルムのプリント費用や宣伝広告費など劇場配給のための経費(P&A費)を,全収入から優先回収することを前提としてファンドが資金を提供し,製作会社はその資金で劇場公開,ビデオ販売,番組販売などの事業展開を実施しする。このような事業展開の結果として生じた収益の配当をファンドが受け取り,投資家に年2回(予定)分配する。
 この仕組みは倒産隔離機能(関連記事)を備えており,すでにシネカノン・ファンドなどで応用されている。仮に製作会社,ファンドの運用責任会社(JDC信託)が倒産しても信託財産化された著作権は差し押さえられないため,投資家などは「コーポレート・リスク」を分離・回避できるメリットがある。

図1:JDC信託,シネマ信託〜製作者ファンド〜の仕組み
シネマ信託〜製作者ファンド〜の仕組み 出所:JDC信託の提供資料より抜粋。

知財信託の活性化はコンテンツ産業の振興にも大きなメリットがある
 今回のファンドの組成に関連して,土井氏は「製作者ファンドは製作者主導のコンテンツ作りを実現する上で大きなメリットがある。日本における映像コンテンツに対する投資マーケットの創設を将来的な目標にして,業務を展開していく」と抱負を語った。
 従来,映画製作会社は,ビデオ製作会社,テレビ局,映画配給会社,広告代理店などの業界内の出資者を資金調達源としてきた。今回のようなファンドを使うことで,製作会社はファンドから自社主導で資金を調達できるようになるため,その結果,製作者主導の映画製作や意思決定のスピードアップが期待できる。
 また,現状の映画業界は製作会社に権利が帰属しにくい事業構造になっているが,製作者ファンドでは,作品がヒットした場合の利益を製作者に還元し,ファンド期間が終了した後は原則としてすべての著作権が製作側に返還されるため,知的財産権の保有という点でも,製作者に利点がある。
(牧野安与=日経BP知財Awareness編集)


記者会見後,各製作会社代表と写真撮影に臨むJDC信託・土井代表(右)


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