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経営に資する知財ポートフォリオを構築し 全社組織に貢献するLG化学知財部 〜 知財情報の収集・分析機能の向上に尽力 〜 [2007/04/23]
韓国LG Chem,ltd.(LG化学)は,LG Electronics Inc.の姉妹会社(LGグループ)であり,「差異化した素材の提供とソリューションで顧客と一緒に成長していく世界的な企業」をモットーとして石油化学素材,情報電子素材,産業材を中心とした事業を展開している。 同社は,液晶パネル素材や有機ELデバイス用素材,リチウム・ポリマー電池,燃料電池などで集中的な研究開発投資と特許出願を行っており,知的財産を経営資源として最大限に活用する「知的財産経営」の効果的な実践を志向している。研究開発のトップが知財部門のトップを併任する事実は,その象徴といえるだろう。 同社知財部知財情報パートのシニア・マネージャであるSeokeuy Hong氏と,同部知財戦略パートのHera Lee氏に,同社の知財活動の特徴とポリシーについて聞いた。 (聞き手は品田 茂=日経BP知財Awareness編集) 独自のイノベーション・システムがLG化学の知財経営を加速
知財経営の実現に向けた活動の中,事業戦略と密に連携した戦略的知財業務を推進するため,研究開発を担う技術研究院長が全社の知財活動を取りしきっている。研究開発の最高責任者である研究院長が知的財産の重要性を認識し,CIPO(chief intellectual property officer)に準ずる役職として兼務するという世界でも稀な体制で,知財部が活動している。この体制によって知財部は「出願した特許を管理するだけ」,「取得した権利を活用するだけ」,「情報収集のみ」といったルーチン主体の組織から脱皮した。従来の受動的で閉鎖的な知財部の活動のみではなくなった結果,能動的に他部門や経営に影響を与える戦略部門へ移行したといえる。 現在の知財部が最も重視しているのが知財ポートフォリオの構築だ。知財ポートフォリオの構築は,「知財を企業成長の原動力とするためにグルーピングして補完・強化する作業」と定義でき,われわれの知財経営の重要な位置を占める。 知財部は,他部門と積極的に連携し,主力と位置づける市場の占有率拡大を図るため戦略的な知財の活用を推進している。特に事業推進にあたり,内在する知財リスクを解決しつつ,良質な知財ポートフォリオを構築して事業基盤を強化,収益増に貢献している。 戦略部門化した知財部がLG化学の経営に与える多大な影響 知財部は,研究開発部門とのインタラクションを重要視しており,研究開発戦略の初期である計画策定段階から商業化段階までの各段階において審査委員会(gate review team)を設置している。審査委員会では研究テーマや成果,知財ポートフォリオ構築方針や知財リスクの明確化などを討議している。事業化段階では,「事業化特許戦略」を事業部と合議し,新製品に関する保有知財の活用とリスクへの対応に関して深い議論をしている。特に,最高経営幹部たちが参加する「戦略投資審議委員会」においても知財面の課題を論議するように体系が整っている。 個別対応も行っている。研究開発部門が必要な情報を特別に設置したサイトを利用して知財部に要求する。その要求に対し,知財部は情報を収集・分析して研究開発部門に提供する。 例えば,他社がすでに進めているような研究の場合,研究開発計画を中止もしくは変更する必要がある。この場合,知財部が行うのは,計画の中止や変更の「情報」だけではなく,その意思決定に必要な「戦略とソリューション」を提供することである。われわれは,前述のイノベーション・システムを通じて事業の初期から事後管理までの知財経営を実施している。 パートナー企業の知財部とも連携をしている。例えばわれわれの主力製品のひとつに液晶パネル用の偏光板ある。この製品の主な顧客は関連企業の韓国LG Philips LCD Co.,Ltd.である。LG Philips LCDが,偏光板の仕様に関する新たな要求をしてきた場合,互いの知財部が連携して知財面での障壁を排除する仕組みを取っている。 多才かつ豊富な人材を擁し拡大する知財業務に対応 わが社の知財部は,(1)コーポレート・事業部レベルでのライセンス交渉・契約や共同開発契約などを担当する「戦略パート」,(2)事業部支援,紛争対応を主体業務にする「本社知財パート」,(3)研究開発部門での特許管理,職務発明補償や知財教育を遂行する「特許パート」,(4)知財情報インフラの構築と運営,情報の分析,加工を行う「知財情報パート」,から構成されている。 図1:LG化学知財部組織図 ![]() 知財部では全社的に広がるこれら業務を円滑に行うためにこの3年間で人員を約3倍に増やした。これでようやく適性な人数になったと感じている。 知財部員の経歴は多様である。弁理士などの専門人材や研究開発部門からの移籍者などを揃えて,各分野での専門性を強化する一方,全世界的に活動するために,米国,中国に専門人材を派遣して「地域専門家」を育成している。その他にも高度化する業務に合わせた専門教育を個別に実施している。多様なバックグランドを持つ人材を知財専門人材へと育成することにより,幅広い視野から課題を解決できるようになった。 オープン・イノベーションを推進するためにPat-Informaticsを強化 われわれは,「オープン・イノベーション」に力を入れている。他社との共同開発を進める一方で,技術開発型ベンチャーなどのM&A(mergers and acquisitions)を通じた新事業創出を模索している。オープン・イノベーションを円滑に進めるためには,研究開発を妨げる要因を事前に防ぐ「Pat-Informatics(知財情報の戦略的活用)」が重要になってくる。 このために,われわれは新しいソリューションの導入を図っている。われわれはPat-Informaticsを経営により反映させるために,SBIインテクストラ社の「StraVision(ストラビジョン)」を2005年より導入している。知財情報を扱う様々なシステムを比較したうえでの決定である。 われわれがストラビジョンを選んだ理由は,(1)知財データを社内で共有するための自社特許ポートフォリオの管理・自動更新,(2)競合他社の知財ポートフォリオの評価や研究開発の注力分野の評価・分析,個々の特許の能力などを仔細に分析することが可能,(3)作成した特許ポートフォリオから特許の経済的価値算出が可能,の3点である。 最大の市場である米国と,今後の注力市場である日本の特許データを網羅し,微細な分析が可能なストラビジョンは,われわれの今後の活動を大きく広げ,「知的財産経営」を加速させるだろう。 |
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