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標準化で協調する場合も機密情報は守れ産業界出身の知財の重鎮 丸島儀一氏に聞く(6) [2004/05/27]
「知財戦略による事業の成功」で先鞭をつけた,産業界の先駆者である丸島儀一氏に,わが国の知財戦略に対する問題意識について尋ねた。丸島氏は,「突破するのは不可能」とされた米ゼロックスの複写機の特許を徹底的に調査して,闘いを挑み,キヤノンの複写機事業をグローバルな成功に導いた実績をもつ。 丸島氏は,標準化で協調することのメリットと,その際の情報開示のあり方や機密情報管理の重要性を強調した。 (まとめは村中敏彦=日経BP知財Awareness編集委員)
標準化では協調し世界と競争せよ わが国を強くするという観点では,日本企業は,標準化などで協調しつつ競争するのがよい。日本の有利な技術をベースにして標準化技術を作った上で,世界にはばたくのが,日本に有利に働くだろう。グローバル競争が激化する事業環境においては,なおさらのことだ。 協調の段階で日本企業をベースとしたグループで特許を取ったものは,お互いに使えるようにする。さらに,ロイヤルティ収入を得ながら,世界に普及させればよい。 標準化で協調する場合の情報開示は必要な範囲で 標準化で協調していく場合に,どの範囲の情報を開示するのかは,悩ましい問題だ。特に,自分の技術を標準化させるには,仲間作りのために,オープンにしなければいけない。しかし,企業の立場では,事業戦略上,必要な範囲の情報だけを開示し,記述情報は全部機密にするのが原則だと思う。特許はきちんと確保しておくし,本当のノウハウは出さない。一般的情報を出して,できるだけそこでとどめようとするわけだ。 機密情報を機密として扱うには,情報管理が重要である。情報管理が適切に行われるという信頼感がないと,情報を相互に開示する排他的な関係を築くことはできない。 大学も機密情報を管理する環境を整備せよ 大学の研究室のように,競合メーカーに勤務する卒業生同士が自由に出入りするような環境は,機密情報を適切に管理するのにふさわしくない。 このようにオープンの状態で研究している環境を,情報を適切に管理する環境に移行することは,非常に難しいだろう。しかし,企業の技術の中でも,第三者からもらった技術についての機密保持は相当厳しい。知財の観点でも事業の観点でも,機密情報は機密として管理する環境を整備しなければならない。 オープン化の潮流は著作権の世界 一方,オープン化の潮流ということで,Linuxなどのオープン・ソース・コードでソフトウエアを開発していく仕組みが注目されている。しかし,ここでの知財は,特許ではなく著作権の世界だ。著作権の世界は,特許と異なり,2つ同じものがあっても,それぞれが独立して創作すればまったく関係ない。従って,著作権の世界はベンチャーに向いているといえる。優秀な人が優秀なソフトウエアを制作すれば,誰の影響も受けないで,それを事業とすることができる。 これに対して,特許は,自分では素晴らしい発明をしたと思っても,過去の特許に拘束されたり,将来を妨げたりする性格をもっている。ソフトウエアも特許の対象になったため,著作権のことだけを考えていればよいわけではない。ソフトウエアは,第三者の特許権の行使との問題が,今後課題として浮かび上がってくるだろう。
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