日経BP知財Awareness

日経BP知財Awareness トップページへ 企業経営関連記事へ CIPO関連記事へ 政策・法制関連記事へ 訴訟関連記事へ 職務発明関連記事へ

人材育成関連記事へ 産学連携関連記事へ 提言関連記事へ 技術&事業シーズ ニュースリリース イベント・セミナー情報



真の「知財立国」に向けて
「知財経営」の本質とCIPOに必要な能力とは
キヤノン顧問・丸島儀一氏インタビュー(4)
[2005/01/19]

キヤノン顧問 丸島儀一氏  2004年は知的財産に関して大きな動きが続出した。職務発明,企業間で繰り広げられた侵害訴訟,発展する知財戦略,人材育成,制度整備……。こうした動きを受けて,企業における知財経営の先駆的存在であるキヤノン顧問・丸島儀一氏に2004年の総括と2005年に向けた提言を聞いた。全7回に分けて掲載する。第4回は,企業における「知財経営」の本質とその責任者たるCIPO(最高知財責任者)に必要な資質,についてである。
(まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

狭い意味で理解される場合が多い「知財経営」
 知財戦略の強化・拡大に伴って,「知財経営」という言葉を見聞きする機会が増えている。前回に述べたように,知財戦略の本質は事業の強化にある。このことを念頭に置けば,知財経営とは「知財を生かして事業活動を盛り立てる企業経営」という意味でとらえるべきである。
 ところが,実際には知財経営は「知財自体のマネジメント」という意味で考えられることが多い。知財をどのように活用するか,換言すれば「いかに知財で儲けるか」に関心が集まり,知財から直接的な収益を得ることだけが知財経営だと考える向きがある。確かに,活用は知財創造サイクルの中で重要な位置を占めている。しかし,それはあくまで「研究開発〜権利取得〜活用」というサイクルの1要素として,である。
 知財とは無体物であり,それだけでは価値を持たないことが多い。商品あるいは事業という実体を伴って,初めて大きな価値が生まれるのである。加えて,知財の価値は相対的である。例えば,知財同士の組み合わせ方や「誰が,どのように,権利を持っているか」といった条件によって,その価値は大きく変わる。事業に必要な基本特許と改良特許がある場合,片方だけしか持っていないと,その価値は両方を持っている場合のと大きく異なる。
 知財の価値とは本質的には事業の価値である。ライセンスを実施する場合であっても,財務的に査定する場合であっても,基本的に事業収益が評価のベースとなる。結局,事業を考えずして知財だけを考えることは不可能である。

CIPOに必要な3つの能力
 知財が経営上の重要課題になるのに従い,先進企業ではCIPO(Chief IP Officer:最高知財責任者)といった役職を設けて,知財経営を強化する動きが出始めた。知財経営を統括すべきCIPOに必要な能力とは,次のようなものである。
 第1は,「知財を事業の観点から見ること」である。こうした場合は,他の部門と密接に協調して事業の成功を最優先目標にしなくてはならない。「知財部門として目立った活動をしなければ業績が評価されない」との意見もあるが,そもそも事業が成功した場合や事業化がスムーズに進展した場合はそのうちの何割かを知財部門の貢献として評価すべきである。そして,こうした貢献に基づいて発揮される競争力こそが,企業にとって真の知財の価値である。先に述べたように,ロイヤルティ収入,訴訟で勝ち取る賠償金などは一時的な収益に過ぎない。長期的な見通しを立て,その企業が持つ技術・事業の発展に寄与することが重要である。
 第2は,「知財創造サイクルにおける研究開発〜権利取得〜活用の3段階すべてに対応すること」である。協働する研究開発部門,事業部門の業務を理解し,それぞれの部門と「共通の言葉」で話せること,つまり考え方や目標を共有できなくてはならない。技術の現場から営業活動まで,俯瞰(ふかん)できる目が必要である。当然,知財については高い専門性を持っていることが前提である。
 第3は,「知財創造サイクルの核になってそのサイクルを大きく回すこと」である。第2の能力を発展させる形で,知財戦略を構築し,自らが率先して部門間の折衝・調整を図る姿勢が必要である。(次回へ続く

第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回(最終回)


求む、即戦力!特許翻訳者募集

サイト内検索

広告欄

CIPO
CIPO
【特別座談会】 特別座談会
環境技術移転に有効な「WIPO-Green」が始動
〜このままでは日本企業は勝ち残れない

知財ナビ

知財パーソン 知財パーソンの履歴書
知的財産管理技能士から,
知財人材の様々な人物像に迫る


佐原雅史氏(株式会社ブライナ 代表) 知財で働く
第20回
「特許業界への憧れと転職」


米国知財レター

前川有希子の米国特許Insight

永澤亜希子のパリ発・フランス知財戦略
<過去の連載>
シリーズ:新規事業開拓と知的財産

藤森涼恵の知財show me the money

日高賢治の中国知財最前線

柴田英寿のアントレプレナーシップ論 オープンスクール



日経BP社 TechnoAssociates, Inc.