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2006年4月スタートの「地域団体商標」,出願・登録の留意点
日本弁理士会・商標委員会委員長 本宮照久氏が講演
[2005/12/09]

日本弁理士会・商標委員会委員長 本宮照久氏 商標法の改正によって,地域団体商標制度が2006年4月1日にスタートする。近年は,地域発の商品やサービスのブランド化を通じて地域経済の活性化を目指す「地域ブランド」の取り組みが盛んになっており,地域団体商標に対する関心が高まっている。「商標キャラバン隊」を組織し,日本全国でセミナーを開催してきた日本弁理士会の商標委員会委員長・本宮照久氏が,同制度の活用ポイントと留意点などを示した。
 本記事は,2005年11月11日に開催された「地域ブランドセミナーin東京」における本宮氏の講演に基づく要約である。
(まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

「地域団体商標」が登録できるのは農業・漁業協同組合などの団体のみ
 今回新設された「地域団体商標」によって,一定の要件を満たす団体は,「地名+商品・役務(サービス)名」といった文字のみの商標を登録できるようになった。
 商標は他者の商品やサービスとを区別するための標識であり,登録を受けるにあたっては,自他商品・役務の識別力が要求されるため,商品の産地や販売地,商品の普通名称などはそれぞれ単独の名称では登録できない。「地名+商品・役務名」も,全国的な知名度を獲得したもの(夕張メロン,西陣織など),図形などと組み合わせたもの(小田原蒲鉾,大島紬)以外は原則として登録できない。
 地域団体商標を出願できるのは,(1)法人格があり,(2)事業協同組合など特別法が定めた組合などで(表1),かつ,(3)構成員資格者の加入の自由が保障されている団体,である。つまり,個人(自然人),単独の会社や法人,市町村,商工会議所,商工会などが主体となって地域団体商標を出願・登録することはできない。これは,社団法人や事業協同組合などとその構成員に対して認める「団体商標」に準じている。
 地域団体商標は,通常の商標権と同様に存続期間は10年間であり,更新が可能である。侵害に対しては,使用の差し止めや損害賠償などを請求できる。ただし,(a)団体間の合併などの場合を除き商標権を譲渡できない,(b)第三者に対する通常使用権は許諾可能だが専用使用権の設定はできない,(c)団体が商標権者であり構成員が各自に権利を移転することはできない,といった制限がある。

表1:「特別法によって設立された組合」の具体例

事業協同組合,森林組合,農業協同組合,漁業協同組合,酒造組合,商店街振興組合(※以上の組合の連合会)
水産加工業協同組合,酒販組合,商工組合,協業組合,旅館組合

表2:「地域名+商品(役務)名」の例
地域の名称+商品(役務)の普通名称 ○○りんご,○○ラーメン,○○温泉
地域の名称+商品(役務)の慣用名称 ○○織,○○焼,○○塗,○○牛,○○漬
地域の名称+商品(役務)の普通(慣用)名称+
産地表示の際に慣用されている文字
○○の△△,本場○○紬,○○産△△
※地域名は,旧地名,海域名,山岳・河川名など含む略称も可。

地域団体商標の登録には一定の「周知性」が必要
 商品やサービスの内容は,大きく45種の区分に分類される。地域団体商標は,このすべての区分において出願できるが,登録にあたっては,商標に含む地域と商品・サービスの間に密接な関連性が必要とされる。具体的には,その地域が,(ア)商品の産地であること,(イ)役務の提供場所であること,(ウ)製法が由来すること,(エ)主要な原材料が生産される地域であること,などの関係である。
 加えて,その商標が,「出願人あるいはその構成員が業務に関係する商品,サービスを提供していることを需要者が広く認識していること」が要件となる。こうした周知性は,「隣接都道府県に及ぶ程度の浸透が必要」と考えられており,周知性を証明するためには,商標の使用期間や使用地域,生産・販売・提供数,広告宣伝の方法・回数・内容,公的機関などによる特産品の認定や証明などが活用できる。実務上は,一般紙・業界紙における記事の掲載回数,内容なども有効な証明手段となる。
 以上に加えて,(a)商品や役務の名称が普通名称になっていないこと(さつまいも,奈良漬けなど),(b)他人の登録商標に類似しないこと,(c)商品の品質について誤認を生じさせないこと,といった通常の商標登録に必要な要件を備えなくてはいけない。

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