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薄型ディスプレイ・パネル業界の再編で 注目集まる各陣営の有機EL技術競争力 [2007/12/27]
ここ1週間,薄型ディスプレイ・パネル業界の再編について大きな報道が立て続けにあった。例えば日本経済新聞は,「松下・キヤノン・日立が連合」(12月19日,以下この3社を「松下連合」と呼ぶ),「東芝,シャープと提携」(12月21日)を報じた。また,これに先立つ9月20日にはシャープとパイオニアの資本・業務提携の報道もあった(以下シャープ,東芝,パイオニアの3社を「シャープ連合」と呼ぶ)。これらに,既知のソニーと韓国三星電子との提携(以下この2社を「ソニー連合」という)を加えた3連合に,国内の薄型パネル・メーカーは集約された格好になった。 進化する知財戦略「+ノウハウ戦略」 知財戦略の観点から思量すると,これまで薄型パネル・メーカーは,ビジネスリスクの1つである他者の特許権に対し,クロスライセンス契約という1対1のスキームによってリスクマネジメントしてきた。これは,ビジネス遂行上の障害となり得るリスクを事前に排除して道を整備しておくという意味で,防御的な目的を持った取り組みである。 これに対して今回の各社の動きは,このような防御的な目的に加えて,松下連合による生産拠点への集中投資,シャープ連合による弱点分野の相互補完などに見られるように,連合内でノウハウなどを積極的に共有する戦略を採ったことが興味深い。連合したからといって競合他社から特許訴訟などを受けるリスクを完全には払拭できないが,開発費の分担や生産ノウハウの共有により,連合中の各社のビジネスリスクは格段に減少する。 このように国内薄型パネル業界の知財戦略構造は,従来のクロスライセンスによって特許の実施権を確保する面はあるものの多く場面で競合企業が個別にビジネスを展開し合う対立構造から,ノウハウなどを共有して連合内の企業が一体的にビジネスを展開する協調構造に大きく変化した。このことは,今後大きな成果をもたらすものと期待される。 連合による技術競争力の変化 それでは,このような連合という動きによって各陣営の技術競争力がどのように変化するのだろうか。このうち液晶パネルについては,すでに研究開発段階から量産段階にシフトしているため,特許クロスライセンスの評価や第三者権利侵害の有無といった実ビジネス展開後の対応をいかに考えるかが焦点となり,これまでに様々な形で業界内に示されてきた特許競争力分析の結果に大きく違わない形で収束するものと思われる。 一方有機ELついては,液晶に続く次技術と期待されており,ここへ来て研究開発競争が激化しているため,各陣営の技術競争力が連合という動きによってどのように変化するかが大変興味深い。松下連合では,その中に有機ELパネルの共同開発を含むとされている。 以下では,有機ELパネルにおける各社・各連合の技術競争力を分析していく。 有機ELパネルメーカーと連合を組むか? 技術競争力の高い出光興産 有機EL分野における各社の特許件数で評価する技術ストックについては,ソニーが7位,松下電器産業10位といずれも上位には食い込めていなかった。それが松下連合の誕生により,松下連合の特許出願件数の合計は2位まで上がり,有機EL分野における存在感が大きく高まる。このように,3連合の誕生により有機EL分野における各社・各連合の技術ストックが大きく変化することが分かった。 一方,特許の質を加味した技術競争力で見てみると,松下連合のシェアは2%強と技術ストックに比べてシェアを落としており,質の面で課題が残っていることが分かる。こうした質の面に関しては,例えば出光興産は,有機ELの材料や電極に関して特許出願件数は少ないものの,質を加味した技術競争力で高い地位を確保している。また“その他”に含まれる企業,大学,研究所(以下「その他」という)のシェアは技術ストックに比べて技術競争力が拡大する。これは,資本が豊富ではなく,技術ストックは多くないものの,質の面では優れた特許などを保有する企業などが存在することを伺わせる。この“その他”の中に,将来有望な技術が眠っている可能性がある。このように質の面で高い技術競争力を保持している出光興産や,その他の中に埋もれている企業などの技術力が,将来の有機EL分野における競争のカギを握る可能性を持つ。マクロな視点からミクロな視点に照準を絞り込んで分析していくことが重要だろう。 (久保田茂夫,後藤陽子=SBIインテクストラ)
図1:有機ELに関する技術力分析 ![]() ■拡大図はこちら
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