2002年に知的財産基本法が成立して以来,「世界有数の経済・社会システムを有する知的財産立国」(「知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画」より)に向けた制度改革が急速に進んだ。2005年4月に創設された知的財産高等裁判所(知財高裁)は,こうした変革の象徴といえる。設立から1年を迎え,知財高裁はいかに機能し,今後どのように発展していくのかについて,同裁判所長の篠原勝美氏が日経BP知財Awarenessに語った。
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)
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知的財産権の保護という観点では,審決取消訴訟において知財高裁が果たす役割が注目されている。現況について,どのようにみているのか。 |
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篠 原 氏 |
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1994〜2004年に東京高等裁判所が担当した審決取消訴訟の推移を見ると,新受件数は10年間で2倍近くに増えている(図表1)。2005年は,新受件数が588件,既済件数が606件,平均審理期間が9.4カ月だった(編注:いずれも概数値,最高裁判所行政局調べ)。新受件数が増える一方で,審理期間において3カ月以上の短縮を実現した。
審決取消訴訟については,特許庁が「特許無効審判請求が成立しない」とした審決(有効審決)の半数以上が取り消されている実態がある。また,特許権侵害訴訟が起きた際に,その多くで被告側が無効審判請求を行っているとの指摘がある。これらのことから,無効審判と審判取消訴訟は,近年の知財実務上,大きな意味を持っていると思われる。「予防型」といわれる従来の企業の知財戦略に加えて,積極的な訴訟提起などを含めた「対処型」の知財戦略においても,審決取消訴訟は,重要度を増すのではないだろうか。それに比例して,知財高裁に要請される責任も大きくなると予測する。
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知的財産高等裁判所 所長 篠原勝美氏
1970年4月,東京地裁判事補に就任。1985年4月,最高裁調査官に就任。その後,東京地裁判事部総括,横浜地裁判事部総括などを歴任後,1999年3月に函館地家裁所長,2000年8月に東京高裁判事部総括に就任。2005年4月に知財高裁所長に就任。 |