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経産省,「電気電子産業における営業秘密保護に関する調査」を公表(上)
約80%の企業が不正競争防止法改正に応じた処罰規定適用を検討
[2006/07/28]

 経済産業省(情報政策企画官付)は,電気電子産業における営業秘密保護に関する調査を2006年3月から実施し,その結果を6月に公表した。2005年11月に施行された不正競争防止法の改正後,(a)新設された処罰規定に関する適用の検討,(b)従業員との秘密保持契約の締結状況,(c)営業秘密管理に関する企業内意識と対応状況,(d)退職者処罰規定の強化や善意取得後の不正使用者に対する処罰規定の整備の必要性,などに関する実態調査が目的であり,電子情報技術産業協会(JEITA),情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ),ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA),日本記録メディア工業会(JRIA)の会員企業471社を対象に行われ,このうち132社が回答した。
 2005年11月に施行された不正競争防止法改正では,(1)在職中に申込み又は請託のあった営業秘密の不正使用・開示に関する退職者の処罰,(2)日本国内で管理されている営業秘密を国外で不正に取得,使用,開示する行為の処罰,(3)法人の処罰,が新たに加えられ,これに先立って10月には「営業秘密管理指針(改訂版)」が策定された(関連記事)。

調査に回答した企業の約80%が「不正競争防止法改正に応じた処罰規定を検討」
 今回の調査では「2005年度の不正競争防止法の改正を受けて新たに整備された処罰規定の適用を考える」と答えた企業は約80%に及んだ(図1)。一方で,改正によって転職者の受け入れに「慎重になった」と答えた企業は約6%に留まり(図2),事前に懸念された法人処罰規定の導入による転職の受け入れへの影響は限定的であることが判明した。

図1:不正競争防止法改正後の営業秘密に関する処罰規定の検討状況
図1:不正競争防止法改正後の営業秘密に関する処罰規定の検討状況 出所:経済産業省報告書「電気電子産業における営業秘密保護について」

図2:不正競争防止法改正後の転職者の受け入れについて
図2:不正競争防止法改正後の転職者の受け入れについて
出所:経済産業省報告書「電気電子産業における営業秘密保護について」


約60%の企業が「従業員と秘密保持契約を締結」
 従業員との秘密保持契約などの締結に関しては,約60%の企業が「締結している」と答えた。これを従業員数による規模別に見ると,従業員1,000名以上の企業(42社)では88%,300人以上999名以下の企業では62%,299名以下の企業で31%となり,企業規模に比例して秘密保持契約の締結が活発な状況が分かった(図3)。

図3:企業規模別に見た秘密保持契約の締結状況
図3:企業規模別に見た秘密保持契約の締結状況
出所:経済産業省報告書「電気電子産業における営業秘密保護について」


 しかし,こうした秘密保持契約を締結している企業の中でも,「保持すべき秘密の内容を明確化している,あるいは限定している」との回答は約46%にとどまり,「内容を限定していない」と答えた企業(約51%)を下回った。また,営業秘密の3要件(秘密管理性,有用性,非公知性)に関して,全回答企業の79%が「知っている」と答えたが,重要情報について「実務で適切な管理が実行されているか」との問いには,「管理が行われているものとそうでないものがある」との回答は全体の65%に及び,19%の企業は「要件を満たす管理がほとんど行われていない」と答えた。一方,「ほとんどすべての重要情報が管理されている」との回答は14%に留まった(図4)。


図4:秘密保持契約の締結と内容の限定に関する状況
図4:秘密保持契約の締結と内容の限定に関する状況
出所:経済産業省報告書「電気電子産業における営業秘密保護について」


参考:営業秘密に関する各要件の解釈
(1)「秘密管理性」アクセスできる者を制限したり,秘密情報である旨の表示をしたりすることにより,客観的に秘密として管理されていると認められる状態にあること。 ・ 施錠した保管庫に入れてある情報。
・ パスワードによるアクセス権の管理をしてある情報。
・ 「マル秘」,「機密情報」,「取り扱い注意」,「複製不可」,などの表示のある情報。
× ・ 棚や机の引き出しに無施錠で保管されている情報。
・ 閲覧者の制限が十分でない情報。
(2)「有用性」該当する情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり,利用されることによって,経費の節約,経営効率の改善などに役立つものであること。現実に利用されていなくてもよい。 ・ 設計図,製法,製造ノウハウ。
・ 顧客名簿,仕入れ先リスト。
・ 販売マニュアル。
× ・例えば「有害物資の垂れ流し」,「脱法」などの反社会的な活動についての情報は,法が保護すべき正当な事業活動ではないので,有用性があるとはいえない。
(3)「非公知性」保有者の管理下以外では一般的に入手ができない状態にあること。 ・ 第三者が偶然同じ情報を開発して保有していた場合でも,その第三者も情報を秘密として管理していたときは,非公知といえる。
× ・ 刊行物などに記載された情報。
出所:経済産業省「平成15年不正競争防止法改正の概要」に基づき日経BP知財Awareness編集部が作成

(河井貴之=日経BP知財Awareness編集)


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