![]() |
![]() |
ベトナムで増える海外からの各種出願 ベトナムの知的財産に関する制度の歴史は浅く,1981年に政府決議によって特許制度を導入した。1996年7月に施行した民法で初めて知的財産権の保護を示した。WTO(world trade organization:世界貿易機関)への加盟を達成するために必要な法整備の一環として,2006年7月に知的財産法を施行した。日本は知財法整備に関してベトナムを援助した。 ベトナムでの特許出願件数の推移を見ると1989年には71件(うち外国からは18件)であったが,2007年には2,860件(うち外国からは2,641件)と約40倍に増加した。特許出願数は増加傾向にあるが,先進国と比べるとまだ少ないといえる。2002年の国別データでは米国,日本,ドイツなどの外国からの特許出願が多いのが特徴である。 ベトナムでの意匠・商標の出願件数は,2007年は約27,000件と1989年と比べて約55倍に増加している。意匠出願に関しては,2002年の国別データでは日本はベトナムに次いで2位である。ベトナムに進出している日本のバイク・メーカーが,部品などを意匠権で保護する例が多い。商標出願に関しては,2002年の国別データではフランスがベトナムに次いで2位,ドイツが3位である。 今日のベトナムで増加しているのが意匠・商標の模倣品問題である。食品や化粧品,タバコ,バイクなどで顕著である。各国企業は,バイクの部品や,菓子類のパッケージ,化粧品の容器などに関する意匠や商標を出願・登録して自社製品の保護を図っている。 ベトナムで模倣品に対抗する方法は“行政措置”,“民事措置”,“刑事措置”の3つがある。この中で最も有効といわれているのが,行政措置である。 模倣品対策でもっとも有効な行政措置 ベトナムで行政措置によって模倣品を取り締まる場合,ベトナムの特許庁に該当する“知的財産庁”から,当該模倣品が「意匠権(商標権)を侵害している」という判定を受けるのが有効であった。現在,知的財産法施行に伴い,この判定制度は知的財産庁以外の専門家による判定制度へと変化しつつある。意匠権侵害物品の場合,模倣品を取り締まる“経済警察局(公安省所属)”や“市場管理局(商業省所属)”などが知的財産庁に判定を申請する事例が多い。商標権侵害物品の場合,商標を出願した企業やその代理人が知的財産庁に判定を申請する事例が多い。知的財産庁の類否判断の基本的な考え方は科学技術省通達(01/2007/TT-BKHCN)により示されているが,実務上不明確な点が多い。 ベトナム知財法のもとで,行政措置を適用できるのは図1の4つの条件を満たす場合に限定される。公共または消費者の利益が損なわれる場合,再発である場合,模倣品である場合,侵害ラベルまたは包装が含まれる場合,である。行政措置による具体的な制裁内容は図2の通りである。関連する省庁・部署は図3の通りである。模倣品の摘発には,市場管理局と経済警察がともに行動することが多い。例えば,ハノイ市の市場管理局は,2007年3月に8件の模倣品を摘発した。 実効性が高い行政措置であるが,ベトナムでは行政機構における不正が社会的な問題となっており,模倣品を取り締まる税関や経済警察についても例外ではない。このような問題点があるのも事実である。
法的安定性に欠けるベトナムの知財関連訴訟 ベトナムの民事措置は,仮処分申請や差止,損害賠償請求などの訴訟が該当する。この点は日本と同様である。裁判所は,県(省直轄市)人民裁判所,省(中央直轄市)人民裁判所,最高人民裁判所がある。ベトナムの裁判の特徴は,(1)2審制,(2)監督審,である。 (1)は,県人民裁判所で始まったものは省人民裁判所で終了,省人民裁判所で始まったものは最高人民裁判所で終了する。例えば,外国人(外国法人)の場合には,ハノイ市またはホーチミン市(ともに中央直轄市)の人民裁判所を第1審の管轄裁判所として訴訟提起することになる。 (2)は,ベトナム独特のもので,判決から3年以内に,最高人民裁判所長官や最高人民検察庁長官等は,「法令適用に誤りがあった」と判断した判決に対して監督審の申立が可能である。訴訟の当事者が監督審を求めることはできない。判決が3年間の長期にわたって覆される可能性を残すため,監督審は法的な安定性に欠ける制度といえる。ベトナムでは,判例公開制度がないため,裁判官も判例情報を得ることができず,結果として,各地で判決に揺らぎが生まれる可能性があり,それを防止するために監督審があるといわれている。 ベトナム知財法では,損害額を算定できない場合,裁判所が約300万円を上限として損害額を決定することを定めている。外国企業にとってベトナムでの裁判は,賠償額,法的安定性の面で利点が少ないと言われている。 刑事措置について ベトナムの刑事措置は,著作権侵害の場合で,被害者に“深刻”な影響を及ぼし,かつ行政措置を受けたあとの再犯,または有罪判決後の犯罪暦抹消の権利を受ける前の再犯に関しては,検察の起訴により刑事責任の追及が行われる。個人犯の場合,15〜150万円程度の罰金,または最高2年の拘留を伴わない“再教育”を科す。組織犯の場合,6カ月以上3年以下の懲役を科す。 深刻の度合いについては法律に明文化したものはなく,「通達」という形で示している。 |
<過去の連載>
![]()
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
企業戦略 | CIPO | 政策・法制 | 職務発明 | 訴訟 | 人材育成 | 産学連携 | 提言 | ニュースリリース | イベント・セミナー
| このサイトについて | 著作権・リンクについて | 情報提供 | 広告掲載について |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||