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世界トップクラスの「デジタル・コンテンツ大国」を目指す 政府の知的財産戦略本部・コンテンツ専門調査会が施策の方向性を検討 [2005/11/02]
政府の知的財産戦略本部が設置するコンテンツ専門調査会(座長:ウシオ電機会長・牛尾治朗氏),デジタル・コンテンツ・ワーキング・グループが2005年11月1日に第1回会合を開催し,(a)デジタル・コンテンツに関するユーザーの利便性向上,(b)デジタル・コンテンツ産業の保護・育成を今後取り組むべき課題として提示した。同ワーキング・グループは,日本を世界トップクラスのデジタル・コンテンツ大国にすることを目指して設置されたもので,(1)ユーザーが手軽に豊富なコンテンツを楽しめる「ユーザー大国」,(2)クリエータが能力を十分に発揮できる「クリエータ大国」,(3)2001年に2兆円規模だったデジタル・コンテンツ市場を2010年に7兆円まで拡大する「ビジネス大国」,を基本目標として掲げている。2006年1月に政策立案の方向性を取りまとめ デジタル・コンテンツ分野は,主に著作権を通じた権利保護の必要性が指摘されており,同ワーキング・グループは委員間の検討を経て,法改正などを含む政策立案の方向性を2006年1月頃に提示する。 第1回の会合には,委員の荒川 亨氏(ACCESS代表),金丸恭文氏(フューチャーシステムコンサルティング代表),久保利英明氏(弁護士,日比谷パーク法律事務所代表),國領二郎氏(慶應義塾大学教授),浜野保樹氏(東京大学大学院教授),平澤 創氏(フェイス代表)に加え,知的財産戦略本部員の角川歴彦氏(角川ホールディングス代表取締役会長兼CEO)と中山信弘氏(東京大学大学院教授)がオブザーバーとして加わり,デジタル・コンテンツ分野の現状と今後に検討するべき課題について意見を交換した。 表1:コンテンツのデジタル化と関連機器
「ユーザーの利便性向上」と「産業の保護・育成」の両立が課題 今回の会合では,(a)デジタル・コンテンツに関するユーザーの利便性向上,(b)デジタル・コンテンツ産業の保護・育成が,今後取り組むべき課題として提示された。 ユーザーの利便性については,米Apple社のiPodなど新しい形態の製品などを取り上げつつ,「ユーザーの存在が重要であり,それが拡大再生産の可能な市場形成につながる」(國領氏)との意見が出た。國領氏は,「コピー防止技術の発達など技術規格を通じた事実上の利用規制が整いつつある。著作権法だけでなく,こうした規制の利用にも注目すべきだ」と述べた。平澤氏は,代表を務めるフェイスの「着メロ」ビジネス・モデルを例に挙げて,音楽業界などでは従来のパッケージ流通を基本とする価格決定が妥当性を失いつつある状況を述べ,「ユーザーの視線,経済環境などを考慮した市場の形成が重要だ」と指摘した。 デジタル・コンテンツ産業の保護・育成に関しては,金丸氏が「コンテンツのデジタル化が進行しても市場の総枠は大きく変わらない可能性が高い。産業構造が急変する中で従来のメディアや産業とのすみ分けが重要になる」ことから,権利保護などの必要性を指摘した。また,長期的な観点からはデジタル・コンテンツ産業のインフラ投資を促進するインセンティブになるとの見方を示した。荒川氏は,「デジタル・コンテンツの流通で肝心な点は,流通履歴がはっきりと分かり,個人の範囲でコピーできるコンテンツ,認証や課金を要するコンテンツが明確に区別できることだ」とする一方,「コピー防止などに固執しすぎるとデジタル・コンテンツ産業が伸び悩むことになる」との懸念を示した。 さらに,デジタル・コンテンツ産業を育成する上では,「『組織リッチ』から『個人リッチ』へ意識の転換を図るべき」(金丸氏),「少なくともクリエータを冷遇しないような制度を整備しなくてはいけない」(中山氏)といったクリエータの保護を重視すべきとの意見が相次いだ。この点では,「金銭的利益だけでなく,創造したという権利自体を尊重する環境」(久保利氏)の整備が重要になる。 (河井貴之=日経BP知財Awareness編集)
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