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「特許情報を活用して研究開発効率を高めよ」――特許庁長官・今井康夫氏は語る
[2004/03/29]

 特許庁長官の今井康夫氏は,先ごろ開催された「国際特許流通セミナー」(主催:独立行政法人工業所有権総合情報館)の基調講演で,日本の知的財産権分野の取り組みについて語った。

知財立国に向け急ピッチの取り組み
 各国の国際競争力を比較した著名なレポートである,IMD(国際経営開発研究所)の「World Competitiveness Yearbook 2002」によると,日本の総合的な競争力は1991年の1位から2002年には30位に低下している。しかしながら,科学技術力の競争力は2002年で2位と高い水準にあり,今のうちに日本の総合的な競争力を高める必要に迫られている。
こうした背景のもと,知的財産立国に向けた取り組みが急ピッチで進んでいる。2002年に「知的財産戦略大綱」と「知的財産基本法」ができ,2003年には小泉内閣総理大臣を本部長とする知的財産戦略本部が発足し,さらに「知的財産の創造,保護及び活用に関する推進計画」もまとまった。この推進計画は全体で270項目あるが,うち経済産業省関連が161項目,そのうち特許庁関連が90項目含まれている。

従来技術を調べて無駄な研究開発を防止
 研究開発と特許の関連を見ると,研究開発活動が必ずしも特許に有効性に結びついていないとも考えられる。2002年のデータでは,年間約42万件が出願され,審査請求された件数は約24万件,特許査定に進むものと拒絶査定されるものはそれぞれほぼ同数で,約11万件となっている。
 特許査定の結果から見ると,総額約11.5兆円(2001年)に達する日本の民間研究開発費の約半分が特許に結びついていないわけであり,これを有望な分野に投入することで,研究開発の効率が高まることが期待される。
 特許査定率は6割台から年々悪化し,2002年には51.4%になった(図1)。米国の71.2%(2001年),欧州の75.6%(2001年)と比較しても低い水準であり,この比率を上げるのが政策目標である。一方,拒絶査定される約11万件のうち,戻し拒絶(特許庁からの拒絶理由の通知に対して反論がないもの)が約5万件もあるのも問題である。

図1:特許査定率と拒絶差定率の推移
特許査定率と拒絶差定率の推移

 拒絶理由を通知された出願に対する従来技術の分布状況を見ると,内国出願では,12年以上前の従来技術により拒絶された件数が2割近くあるのをはじめ,4年以上前の従来技術による拒絶は76%に達する。おおむね,研究開始時点で調査可能な従来技術が約8割あると考えられ,逆に言えば,特許情報を検索して従来技術を知っておけば,無駄な研究開発をある程度防止できるはずである。
 近年,特許審査の請求件数は審査着手件数を上回っており,審査待ち期間は26カ月と欧米に比べて長期化している。この観点からも,拒絶査定や戻し拒絶を減らすような,研究開発効率の向上が期待されている。一方,大学で創出される知的財産を産業界で活用することが国際競争力の強化につながるという認識から,大学の知的財産を流通させるための施策を強化していきたい。
(まとめは村中敏彦=日経BP知財Awareness編集委員)


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