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劇的に変化する特許侵害訴訟の現状(上)[2004/07/06]
阿部・井窪・片山法律事務所のパートナー弁護士である北原潤一氏は,5月17日に開催された「知的財産 法務・会計・税務セミナー」(主催:監査法人トーマツ・知的財産グループ,阿部・井窪・片山法律事務所)において,最新の知財訴訟の動向と審理モデルについて講演した。北原氏は,近年に出された重要判決のポイントを示して,「この5年間で特許侵害訴訟が劇的に変化した」と指摘した。 (まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集)
劇的に変化した特許侵害訴訟 近年の特許侵害訴訟の動向を見ると,この5年間で劇的な変化があった。裁判の迅速化や,賠償の高額化などが顕著に進んでいる。1998年,東京地裁に知財専門部が増設されて以来,知財訴訟を専門に執り行う裁判官や調査官の拡充が進み,知財訴訟に対する裁判所の取り組みが熱心になった。その結果,特許侵害訴訟の処理件数が,1998〜1999年を境に大きく増加している。 この間の変化について,ある裁判官は論文の中で,「それまで手斧で戦っていたのが,ミサイルを武器に戦うようになった」といった趣旨のことを書いている。この表現は,なるほどとうなずくことができる。裁判所は当事者や弁護士に対して,非常に高いレベルで訴訟の準備を要求するようになった。 今回は,特許侵害訴訟の動向に加えて,実践に大きな変化をもたらした最高裁の判例について検討する。加えて,最近の知財専門部の判決傾向などを,統計的分析を交えて説明する。 「侵害論ステージ」と「損害論ステージ」を峻別 最近の特許侵害訴訟の審理傾向で重要なポイントは,(1)侵害の有無を争う「侵害論ステージ」と,(2)侵害があったことを前提にその後の対応を争う「損害論ステージ」,の2段階の峻別化が進んでいることである。 これに基づき,最近の特許侵害訴訟における審理モデルを図1に示す。 図1:侵害論ステージと損害論ステージの峻別 ![]() 侵害論ステージから損害論ステージへの移行段階には,いくつかの選択肢がある。その中の多くの場合は,弁論終結から請求棄却(非権利者勝訴)の終局判決や和解のように,損害論ステージに入らずに結論に至る。裁判所が侵害論ステージで侵害あり(権利者の「勝ち」)との心証に達した場合には,多くのケースで「心証開示」を行い,当事者に和解を示唆する。それを基に,訴訟内外で和解に至るなど,訴訟の取り下げになることが少なくない。主観として,訴訟の半分近くが,和解や取り下げで終結していると考える。 最近の傾向として,侵害論ステージが終わった時点でいったん侵害ありとの判断を下す「中間判決」の活用が提案されている。争点中の特定部分の判断を下すのである。侵害訴訟ではないが,中村修二氏と日亜化学による職務発明訴訟において,特許権の帰属をめぐって中間判決が出たケースが有名である。 中間判決などの手段を背景に,争点やステージごとに裁判所がメリハリの利いた審理をして判断を下すケースは,今後さらに増加すると考えられる。(次回へ続く) |
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