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味の素の「職務発明訴訟」への対応(1)対象特許は製造工程の一部に過ぎない [2004/07/12]
味の素・知的財産センター長の杉崎宏光氏は,このほど開催された「企業経営と知財マネジメントの実際」と題するセミナー(主催:インテクストラ)で,「職務発明訴訟への対応と企業」について講演した。杉崎氏はまず,同社の職務発明訴訟の争点となる対象特許について,世間に誤解があることを説明した。 (まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 2004年2月に1審判決 職務発明訴訟において,各種の訴訟に共通する問題点や,企業として裁判所や世間にアピールが必要な点を考察するために,味の素の訴訟をケース・スタディとして考える。これは,味の素を退職した技術者(原告)が2002年9月に味の素(被告)を提訴し,2004年2月に東京地裁で1審判決が下った「アスパルテーム(APM)晶析法」に関する職務発明訴訟である。APMとは低カロリー甘味料であり,「パルスイート」の商品名で小売りされるほか,各国の食品関連メーカーなどに販売,ライセンスされているものである。 ここでは,1審判決での争点とその背景にある事実を通して,2審で明確にすべき訴訟のポイントを説明する。 「原告の発明は製造工程の一部の製法特許」 まず,訴訟の争点となる対象特許について,世間の持つ誤解を指摘する。2002年9月の提訴時点で,「APMは原告が発明した」,「APMの製法は原告が発明した」と報道された。しかし,訴訟での対象特許は,APMの製造工程の1つである「晶析」における「静置晶析特許」である。 味の素は,日本でAPMの製法に関連して81件の特許を登録している。また,APMはフェニルアラニンとアスパラギン酸を合成して製造するものであり,味の素は前者の製法を61件,後者の製法を21件登録している。これらの特許が,APMの製造に寄与し,排他的な効力を持っている。 さらに,晶析法が発明される以前から味の素はAPMを製造し,事業を行ってきた。付け加えるならば,競合他社は,静置晶析特許を使用しないで,甘味料を製造できている。このように,問題の特許は,APMを製造する工程全体における一部の,製法特許に過ぎないのである。 |
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