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味の素・知的財産センター長 杉崎宏光氏味の素の「職務発明訴訟」への対応(3)
特許法の職務発明規定は日本だけで通用
[2004/07/14]

 味の素・知的財産センター長の杉崎宏光氏は,このほど開催された「企業経営と知財マネジメントの実際」と題するセミナー(主催:インテクストラ)で,「職務発明訴訟への対応と企業」について講演した。杉崎氏は,日本の特許法の職務発明規定は日本固有のものであり,外国特許に適用すべきではないことを強調した。
(まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集)


第2の争点は「外国特許」
 第2の争点は,外国特許である。この問題は学者の間でも論議を呼んでいる。
 1審では結論として,特許法35条の規定を「外国において特許を受ける権利」,そして海外での事業に拡大適用した。しかし35条は,1項の「通常実施権」,同2項,3項の「専用実施権」など,国際的に見て一般的ではない用語による権利に言及しているので,これらの条項は,外国において特許を受ける権利を予定していない。加えて,これらの規定は,フランスなど職務発明についての特許を受ける権利が法人に属する国では適用できない。特許法35条は,職務発明について特許を受ける権利が,その発明を行った従業員などに原始的に帰属することを前提にした,日本に固有な規定であると言える。

「特許法は日本における権利」
 そもそも,特許を受ける権利の法的性格とは,誰に対する権利なのかと考えると,それは,国家に対して,特許法に基づいて特許を受けることができる地位あるいは権利である。そこで言う特許法は,当然その国家が定めているものであり,つまり「当該国の特許を受ける権利」である。
 35条は,全体として使用者と従業員の利害調整を図っている。従って,同条1,2項においては,「特許を受ける権利」は外国特許に含まれない一方,3項,4項の規定にのみ外国のものが含まれるという考えは,採用される余地がない。
 各国はそれぞれの産業政策に基づいて,発明に対する効力の与え方を,各国の法律に基づいて規定している。従って,従業員などが職務上発明を行った場合に,日本の特許法が,(1)発明を受ける権利が誰に原始的に帰属し,(2)どのような要件で承継でき,(3)承継した場合誰にどのような権利があるか,について規定できる対象は,基本的には,日本の産業政策に基づいて定めた,あくまで日本における特許権,もしくは特許を受ける権利であるとしか解釈のしようがない。
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