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味の素の「職務発明訴訟」への対応(4)発明者が受けるべき利益の算定に問題 [2004/07/15]
味の素・知的財産センター長の杉崎宏光氏は,このほど開催された「企業経営と知財マネジメントの実際」と題するセミナー(主催:インテクストラ)で,「職務発明訴訟への対応と企業」について講演した。杉崎氏は,発明者が受けるべき利益の算定基準について,裁判所の判断に問題があることを強調した。 (まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 第3の争点は「発明者が受ける利益の額」 1審の判断では,使用者等(=本件では味の素)が受けるべき利益の額を以下のように算定した。ライセンス収入として,(1)北米ではロイヤルティ(2%)の全額,(2)欧州では子会社・合弁会社のロイヤルティ(2%)の20%に関して,他の特許との貢献割合を勘案しつつ算定する。一方,自己実施分(日本国内で生産した上で国内販売した,および欧米やアジアなどへの輸出分)としては,売上高総額×2%として算定した。ここで問題となるのは,味の素固有の営業力や連結子会社を勘案することである。 企業の営業力による売り上げの違いは,その発明によって発明者が受けるべき利益ではない。1,000を売り上げられる企業と100の売り上げを上げられる企業の差は,本件に関する限り,発明によるものではなく,営業力によるものである。こうした点を勘案すれば,1,000を「発明者が受けるべき利益」として算定のベースにするのは,間違っている。例えば,APMを食品添加物として許認可を得るために,多くの企業努力が払われ,その結果,APMは,特にコーラなど飲料向けに大きな売り上げを得ることができた。そのためには,さまざまな業務が行われてきた。これらから生まれた利益は,「発明による」ものではない。 「仮想のシェアの算定に問題」 さらに,仮想のシェアと売り上げの算定に問題がある。あたかも,味の素と同様の金額を他社が販売できるものと仮定している。例えば,企業が100%のシェアを持っている場合においても,潜在的競合者が同じシェアを持つと仮定して計算している。これでは,全体のシェア合計は,200%になってしまう。また,現実には潜在的競争者が出てきていないにもかかわらず,それを存在していると考えることは,理論の行き過ぎであり,現実と遊離している。 |
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