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味の素の「職務発明訴訟」への対応(5)発明を事業化する企業側の貢献は大きい [2004/07/16]
味の素・知的財産センター長の杉崎宏光氏は,このほど開催された「企業経営と知財マネジメントの実際」と題するセミナー(主催:インテクストラ)で,「職務発明訴訟への対応と企業」について講演した。発明を事業化する企業側の貢献は大きいことを,杉崎氏は強調した。 (まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 第4の争点は「発明者と企業の貢献度」 発明者と企業の貢献度について考慮すべき要素については,1審は味の素の主張をおおむね受け入れた。原告(発明者)の職務内容,APM事業化の経緯,発明がなされた経緯,発明の意義,権利化の経緯,発明の事業化の経緯,原告の処遇などである。 貢献度については,味の素側の貢献は判例上最高の95%と認められた。企業側の貢献として,従来の「発明するまでの貢献」だけに加えて,許認可や営業活動など発明後の貢献についても認められたという点でも,前進があった。 「発明を事業化する企業側の貢献は大」 味の素は2審で,企業側の貢献度の高さについて,さらに主張したいと考える。発明の事業化に際して,「食品添加物の許認可」という壁を乗り越える必要性という,特殊な問題にも対応している。さらに,大企業に共通するテーマとして,(1)技術者の処遇,特に大企業研究者としての安定性(歩合制の給与システムではないこと),(2)他の従業員の貢献と比較した際の処遇の公平性,(3)会社が利益を生み出す構造,について裁判所の理解を深めたい。 企業による利益創造ラインは幅広い。例えば,プロジェクト導入,研究開発,試作,投資,生産設備の設置,実験,マーケティング,生産,販売,販促,広告宣伝,物流,代金回収,特許化,ライセンス交渉,株式の買い取りなどの各部門,各段階で,従業員が貢献している。その代償は,給与などの人事処遇であり,発明者だけが突出した対価を受け取るのはバランスに欠ける。そもそも,職務発明による1つの特許について,関連する事業の5%の貢献を発明者に認めたとすると,その事業に関連した特許が100件あった場合に,一体どうなるのであろうか。 第5の争点は「発明者に対する企業の処遇」 原告の発明者は研究所長や工場長として処遇され,退職後は関連企業の社長や役員,技術顧問を歴任している。大企業に在籍する研究者は,安定した経済環境で研究に従事できる。ベンチャー企業のように,リスクを負うこともなく,出来高払いということもない。 企業研究者の職務遂行による成果は,企業に帰属し,研究者には賃金が支払われるのが原則である。成果としての発明に対する「相当の対価」も,人事諸制度の全般における処遇や報償などが,全体から考えられるべきである。 |
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