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発明や特許の価値評価に対するキヤノン田中常務の提言(1) 周囲の技術体系や技術の経時変化を考慮すべし [2005/04/01] キヤノン常務取締役 知的財産法務本部長 田中信義氏
まず,文書原稿などの被写体像に応じた電気を感光ドラムに帯びさせ,感光ドラム上に静電的な潜像(静電潜像)を形成する。このために,被写体と感光ドラムを同期させて動かしながら,被写体にスリット状の光を当て,このスリット光が光学レンズを介して感光ドラム上に結像し,元々は均一に帯電していた感光ドラムの表面を,被写体像に応じた電気量に変化させる(図1)。次に,感光ドラム上に形成された静電潜像に電荷を帯びたトナー粉体を振りかけて,潜像に対応したトナー像を形成する。これが静電潜像の可視化であり,いわゆる現像工程に当たる。最後に,このトナー像をそのまま普通紙の上に転写し,熱などで定着させる。以上のプロセスによって,文書原稿などの被写体を紙の上に複写できるのである。 図1:電子写真技術(普通紙複写機) ![]() この電子写真方式の普通紙複写機に使われる技術は,大きく分けると光学技術,感光体技術,帯電技術,現像技術(トナー技術を含む),転写技術,定着技術,紙搬送技術,制御技術などである(図2)。普通紙複写機の開発における重要テーマとしては,感光体技術,帯電技術,現像技術,転写技術,定着技術などだった。感光体の材料としては,CdS,OPC,アモルファスSiなどが使われている。 図2:普通紙複写機及びLBPの要素技術 ![]() 1960年代に独自方式を開発 われわれは1960年代から,このカールソン方式の特許に抵触しない新しい電子写真技術の研究開発をスタートさせ,1965年に独自技術である「NP」方式を開発した。この方式の特許は1965年8月に日本で出願し,1967年11月に公告された(日本特許5286624)。この新方式を使った最初の普通紙複写機「NP−1100」を1970年に発売した。 Xerox社の特許群をかい潜って普通紙複写機市場に参入したため,われわれは当初から活発に特許出願してきた。現在われわれは国内特許2万7,000件,海外特許3万3,000件の合計約8万件の特許を保有しているが,国内登録件数の約半数が複写機関連である。例えば感光体と関連する消耗品だけで約3,400件の特許を保有している。(図2)。すなわち,複写機事業は膨大な特許群によって成り立ち,また守られているといえる。 LBPの研究開発を開始 普通紙複写機に続くLBPの研究開発は1970年前後に始まった。普通紙複写機では被写体である原稿類に当てた光を感光ドラム上に直接結像させたのに対し,LBPでは被写体像を電子データ化し,その電子データに従ってスポット状のレーザー光をオン・オフさせて感光ドラム上に照射して静電潜像を形成することを基本原理としている。 具体的にはまず,被写体像を読み取って電子信号化する。次に,ポリゴン・ミラー(回転多面鏡)を使ってレーザー光を走査しながら,電子信号に従ってレーザー光をオン・オフさせて感光ドラムに静電潜像を形成している(図3)。ここまでが普通紙複写機技術と異なるだけであり,以降の現像,転写の工程は普通紙複写機技術と同じである。このため,電子写真技術の大部分がLBPにおいても使われている。ちなみに,現在のLBPは半導体レーザー光を走査して静電潜像を形成するタイプが一般的だが,半導体レーザー光を走査する代わりに液晶シャッタ列やLEDアレイを使った製品も一部ある。 図3:LBP光学系 ![]() |
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