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【シリーズ】先進企業の知財戦略(4) ソフトウエア企業が共同で展開する知財戦略 日本IT特許組合(下) [2005/08/11]
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 独立系ソフトウエア企業27社が参加する組合活動 日本IT特許組合は,独立系ソフトウエア企業が集まって2001年に創設した同業組織であり,IT(情報技術)分野に専門性を持つ弁理士・弁護士と連携して,各企業が直面する特許問題を共同で解決することを目指している。 従来は法務業務の1つとして知財を扱っていたが,最近は経営課題として知財を認識し,経営資源として積極的に活用しようとする企業が増えている。その反映として,組合の加入企業は創設時に4社だったが,2005年8月時点で27社に拡大した。 図1:日本IT特許組合の組織図 ![]() 資料提供:日本IT特許組合 事務局 業務の定式化・共通化を通じ,業界としての知財戦略を向上 「組合」という形態を採用した狙いとして,当初は主に3つの要素を想定していた。(1)各企業が組合に知財関連業務を委託し,自社のコア技術・製品へ経営資源を集中できること,(2)複数の企業が連携して大きな組織を組成することで個々の企業に対する安易な侵害警告の「狙い撃ち」を抑止すること,(3)同業種の企業が集まることで専門情報やリスク回避の手法を共有できること,である。 さらに,(2)と(3)については,知財業務の定式化・共通化が業界としての知財戦略を高めることを,実践を通じ改めて認識した。例えば,侵害警告については,組合の会員企業間で定期的に情報を交換しつつ,発生時には「まず相手に調査に取り組むことを回答した上で,組合を通じて侵害の実態を調査し,結果に応じて対処方法を協議して相手に対応する」とし,正当な権利を主張する姿勢を共有している。同様に,特許出願業務に関して,依頼する弁理士の専門分野,費用,特許明細書の質に関する情報を交換・共有することで,結果としてソフトウエア業界における特許のレベルの向上につながっている。 中小・ベンチャー企業の場合,知財に関する専門部署あるいは専任者の設置など社内体制の整備に企業差が存在するが,組合の活動を通じてこうした企業格差を「緩和」し,経営判断や企業行動上で一定の標準化を図っている。 高まる知財の重要性と多様化する組合へのニーズ 企業が事業を通じて自社の価値を高めていく中で,知財が果たす役割の重要性は日増しに高まっている。特に,大企業に比べて1つの製品・サービスが事業に占める割合が大きい中小・ベンチャー企業は,「知財が生命線になる」と言っても過言ではない。特許を中心とする権利取得の動きも活発化しており,組合の加盟企業が出願した特許数は,2002年の60件から2003年には100件超へ増えた。また,日本国内での出願に加えて,中国や米国など海外での権利化を望む企業が多い。権利化は,最も基本的な侵害リスク低減の手段でもあるので,組合活動として積極的に支援している。 会員企業が直面する問題は多様化しており,われわれは組合が提供するサービスをさらに拡充する方向で検討している。最近の傾向としては,自社の事業モデルや主力製品に関する他社特許侵害リスクの診断案件が多い。こうしたニーズは,投資家の要望に応える形で増加している。今後の増加が見込まれるため,われわれは,サービスの定型化と調査力の向上を目指し,専門調査会社との協力体制を構築している。 特許に加え,社名(商号)や製品に関する商標に関する相談案件も増加している。われわれは商標専門の弁理士事務所とタイアップし,日本国内外で権利の出願やクレーム対応,そして商標の管理業務を一括して請け負うサービスを展開している。 以上に加えて,われわれの自発的な活動として,実務的な知財知識の普及とソフトウエア業界に焦点を合わせた専門的なテーマに基づいた調査研究,レポートの発行に注力していく。会員企業に加えて,広く一般に業界の知財動向を認知する機会を提供するつもりだ。 (前回の記事)
梶山 桂氏: 應義塾大学経済学部卒。日本ユニシスにてシステムエンジニアとして勤務後,リードレックスを設立。ERP ソフトウエアなどの開発・販売,海外へのソフトウエア輸出に注力。社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会副会長,日本 IT 特許組合理事長などを務める。金沢工業大学大学院・客員教授。 生野糧作氏: 慶應義塾大学商学部卒。沖電気工業,CSK(関連会社CSO常務取締役,CSK事業部長,OEC営業本部長など),日本JDEdwardsを経て,2001年にウェッブスター設立。日本 IT 特許組合事務局長などを務める。 |
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