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「オープン化」は知的財産戦略の新たなキーワードになるか
金沢工業大学大学院教授・加藤浩一カ氏インタビュー(下)
[2006/02/01]
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「オープン・ソース化」は,こうした動きの一環と認識してよいのか。 |
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答 |
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加藤氏:オープン化する「ソース」とは,ソフトウエアのソース・コードである。従来,特に一般向けのソフトウエアは,ソース・コードを公開しないことにより,その価値を守る場合が多かった。しかし,先に述べたような製品に対する互換性維持の必要性が高まりに加え,莫大なコストを要するソフトウエア開発を1社だけで進めることが困難な場合が増えており,プログラム・コードを公開し,別の開発者や企業がそのプログラムの改良や機能の追加などを容認し,さらに促進する動きも出てきている。
市場環境との関係では,圧倒的な市場支配力を持つソフトウエアへの新しい対抗策と位置付けられる。開発段階で多くの開発者や技術を取り込むことで,優れた製品を作り出そうという狙いがある。例えば,「Windows」に対抗する「Linux」が典型的であり,そのほかにも米Microsoft Corp.の「Internet Explorer(IE)」が優勢となったWebサイト閲覧ソフトウエアの世界では,1998年に米Netscape Communications Corp.が自社の「Netscape Communicator」のソース・コードを無償で公開し,開発者のコミュニティとして,「mozilla.org」を結成した。同様の例は数多く存在する。 |
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企業の知的財産戦略において,オープン・ソース化は有効な戦術として期待できるか。 |
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答 |
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加藤氏:ここで注意すべき点は,ソフトウエアについて「オープン」や「フリー」といっても,(a)特許権や著作権などの知的財産権を放棄しているわけではないこと,(b)必ずしも「無償」という意味ではないということ,である。
(a)について,そもそもオープン・ソース・ソフトウエア(OSS)は,例えばLinuxの「General Public License(GPL)」のような所定のライセンス条件などに従うことを条件として自由な再配布などを認めており,あくまで著作権の存在が前提となる。(b)についていえば,1980年代に始まったフリー・ソフトウェア運動における「フリー」とは,「自由な」という意味であり,「無償」を意味するものではない。事実上,使用の対価が無償であるソフトウエアも多いが,それは「オープン」や「フリー」の意味するところではない。
企業が進めるオープン・ソース化には,相応の利益に対する期待があるはずだ。提供する側は,オープン化の目的とその戦略を明確にすることが肝要になる。また,使う側においては,オープン・ソースにメリットがあることは確かだが,「オープン・ソースだと安価で他者の権利を侵害するリスクがない」と考えてしまうことはまったくの誤解と認識すべきだ。
このようなオープン・ソース化を用いる戦略は,近年注目されている技術標準の獲得において,標準化の基盤整備としてならば,十分に活用する余地があると考えられる。ただし,よほどの有力企業でない限り,1社単独での取り組みは不可能だ。フォーラムやコンソーシアムといったグループ標準化,あるいは国や地域単位の取り組みになるだろう(関連記事)。日本における「知的財産立国」の観点からは,国家的戦略として検討する価値はある。
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