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【シリーズ】先進企業の知財戦略(5) 産学連携を通じて起業の理念を実現 マイクロストーン社長 白鳥典彦氏(下) [2005/08/29]
「創業間もない時期に,大学や地域コンソーシアムなど通じて多くの協力者と出会えたことが,当社の成長を支えた」。小型精密センサーの開発で有数の先進企業であるマイクロストーン(長野県佐久市)社長の白鳥典彦氏は,同社の成功要因の1つとして産学官連携を挙げつつ,「産学連携で事業化を成功させるためには,企業の主導が不可欠だ」と指摘する。ベンチャー企業における産学官連携の重要性と知財戦略のあり方について,同氏に聞いた。 (聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 起業の理念を実現した産学官連携 当社を創業した1999年まで,私は精密機器関連メーカーでセンサー開発に18年間携わってきた。会社がセンサー事業から液晶事業への転換を決定したことを機に,起業を決意した。技術者としてのセンサーへのこだわりとともに,1つの理想を持っていた。センサーを身に付けることで病人の行動や状況を把握できる医療用機器の開発である。同じ時期に父親が病気で入院し長期間にわたって看病した経験もあり,是非とも創り出したいと思った。 創業時は,文字通り自宅の机1つで立ち上げたベンチャー企業だった。私は,自分の理想とする製品と事業計画を記した1枚の紙を持って,大学の研究室から起業セミナーまで各所へ足を運んだ。その結果,信州大学,山形大学,地元の地域コンソーシアムや工業試験場などを通じて多くの協力者と出会うことができた。当社が今日に至る成長を達成できた基盤として,こうした人々の協力があったのである。
ニーズに基づいた企業の主導が産学連携を成功に導く 当社の経験を振り返ると,「こうしたものを創りたい」という明確なテーマを持っていたことが,多くの人々による協力を獲得できた最大の要因だった。これは,産官学の連携において最も大切なポイントであると思う。 産学連携における研究機関と企業の関係について,シーズ(種)とニーズ(需要)といった比喩がよく用いられる。しかし,事業化を前提とする際は,研究機関が持っている研究成果や技術は,種ではなく,「手段」と考えるべきである。手段がたくさんあり,かつ,それぞれが充実していることは重要だが,「金づちと釘があるから何か創ろう」ではいけない。「創りたいもの」がまず存在して,次に手段として研究や技術を考えることが本質ではないだろうか。換言すれば,産学連携で事業化を成功させるためには企業が主導してニーズ指向になることが不可欠である。 「知財戦略は企業哲学を反映する」 企業における知財の位置付けを深く考えていくと,「事業を通じて何を創り出したいのか」,「企業活動の目的は何か」といった企業のあり方や,哲学へとつながっていく。 例えば,近年話題になった職務発明も,「技術者を始め社員に対してどのように報いるべきか」,「事業への貢献をいかに計るか」といった論点は,それぞれ企業とそこで働く人々の価値観によって,さまざまな解答があると思う。当社の場合,基本的な発明補償に加えて,後に事業に大きく貢献した発明への報奨としては表彰制度などで応えたいと思っている。「貢献度」を基にして金銭的な利益を計る考えがあるが,当社は各社員に自社の株式を与えて公平な利益分配を志している。それは,「事業は人間の体と同じで各部分が有機的に連動し,初めて機能する」という考えに基づいている。 知財への取り組みは,企業の本質的なあり方や事業の様相を反映する。それは,知財を経営課題として考えるべき理由の1つでもある。 |
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