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先進企業の知財戦略と求められる人材像(5)
技術者が培うべき「新しい視点」とは
日本電気エンジニアリング・経営企画部(下)
[2004/09/29]

 日本電気エンジニアリングの経営企画部・企画部長である石川朗氏は,知財人材としての技術者の育成について,「より大きな観点から特許を見たり考えたりできる能力であり,これを養成して平準化することが重用だ」と指摘する。同社は設計・開発に従事する2,000名の技術者を擁する。大規模な技術者集団をけん引しつつ,技術者と知財の新たな関係構築を見据えて推進する同社の人材育成について,石川氏に聞いた。

(聞き手は河井貴之=日経 BP知財Awareness編集)


日本電気エンジニアリング 経営企画部 企画部長 石川 朗氏

日本電気エンジニアリング
経営企画部 企画部長
石川 朗氏
研修や自己啓発に知財関連プログラム
 全社員を対象とした知的資産に関する教育は,階層別の研修時に主に実施している。最初に,入社時研修に講義と簡単なテストを組み込んでいる。テキストとテスト問題は知的資産グループが監修して制作する。このほか,主任やマネージャー・クラスを対象とする研修で知的資産を扱う。
 当社は,独自に「テクノロジー・プレステージ」という自己啓発制度を整備している。これは,「X学会での論文なら20点,Y資格なら10点」というようにアイテムごとにあらかじめ点数を決めて,修了に際して得点化するのである。この得点は各社員のポテンシャルを測る指標として,昇進時などに活用している。プログラムの中には知的資産に関するものがある。例えば,特許登録では20点,弁理士資格を取得した場合は50点となっている。このほかに,eラーニングなどで学習機会を増やすよう努めており,資格取得も奨励している。

技術者が培うべき「新しい視点」
 従来,技術者には「特許明細書を作成する力を伸ばすこと」を目標として掲げてきた。つまり,どの技術者も一定レベルの明細書を作成できるように,能力の平準化を進めてきた。
 しかし,現在のように特許戦略が事業戦略と密接に関連して複雑化・高度化する状況下では,能力に一定の個人差があってもやむを得ないと考えるようになってきた。例えば,「明細書を少しだけ記述できる技術者」,「高度な明細書を作成できる技術者」といった具合である。
 重要なことは,「知的資産」や「事業戦略」というより大きな観点から特許を見たり考えたりできる能力であり,これを養成して平準化することである。「どういう特許が知的資産になるか」,「事業戦略中でこの特許の意義は何か,どこが強みか」。こうした新しい視点を,すべての技術者に培ってもらいたい。

実務能力の測定に「知的財産検定」を利用
 研修や自己啓発の学習は,基礎能力の養成である。実務能力はOJT(on the job training)で養うことになる。この場合,「客観的に能力を測ることが困難」という問題が生じる。実務能力の養成と測定という観点から,「知的財産検定」に注目して利用している。
 知的資産グループに所属する社員が2級を受検した。メリットとしては,ケーススタディで出題されるので実務的である点,すでに持っている知識を整理して到達度を測ることができる点,である。付け加えていえば,点数や順位など客観的な評価が見えるとより良い。
 レベルは,専門部署である知的資産グループの場合,1級が妥当である。業務歴によっては2級でも妥当である。当社の場合,2級は,法務部門,プロジェクト・マネジメントに従事する事業部門の管理職などにも必要と考えている。

職務発明補償に関する社内規程を改定
 現在,知的資産グループが中心になって職務発明補償に関する社内規程の改定を進めている。当社は職務発明で生まれた特許について,出願,登録,実施などの各段階で評価し,それぞれの段階に基づいて実績補償で補償金を算定してきた。
 評価の算定基準や取り扱いを明確化するため,2003年ごろから改定を検討してきた。2004年に特許法が改正されたこともあり,こうした点を踏まえて最終作業を進めている。新規程は,社内検討に加えてNECグループ全体での調整を図っている。完了次第,できるだけ早期に社内へ公表する予定である。



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