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シリーズ ― 先進企業による知財人材育成の取り組み(4)
「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(下) ― パイオニア・知的財産部
[2004/05/26]

 いかに強い特許を創り上げていくか。パイオニアが今進めている知財戦略の核は,ここに集約される。同社常務執行役員・知的財産部長の栗原清一郎氏は,「強い特許とは,技術的な強みに加えて,権利としても強くなければならない」と指摘する。栗原氏に,パイオニアの知財戦略と,その創り手である知財人材の育成について聞いた。
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

自主的に進む知財部員の知識取得
 知的財産部員の知識の習得について,まず弁理士試験が主な取り組みとして挙げられる。「実務の場で弁理士資格がどの程度役立つのか」という議論が昔からあるが,合否に関係なく,知財について学習するというプロセスに意味があると考えている。知財パーソンとしての基礎や土台を築く中で,弁理士試験で問われる知識は非常に重要なものである。会社として受験補助などを行っていないにも関わらず,試験を目指す知的財産部員は多い。現在までの資格取得者は3名で,2004年も7名ほどが受験する予定である。さらに,文系出身の知的財産部員の中には,理系の夜間大学院に通い電気技術を学んでいる者がいる。
常務執行役員・知的財産部長 栗原清一郎氏
常務執行役員・知的財産部長
栗原清一郎氏

 
 語学についても同様で,多くの知的財産部員が自主的に能力の向上を図っている。知的財産部の場合,読む・書くといった能力に加えて,交渉力が必要とされる。例えば渉外部門では,ライセンス交渉の3分の2を外国語で行っている。交渉力に富むベテラン部員でも,外国語を使った交渉になると100%の力を発揮することは困難な場合がある。こうした場合,語学が得意な若手の社員とチームを組んで業務に当たらせるなどしているが,各員の能力向上は欠かせないものである。知的財産部としては,キャリアが2〜3年目の社員を対象に,毎年2〜3名を1年間米国に派遣し,ワシントンD.C.の法律事務所で研修を行っている。

「客観的評価」として知的財産検定を利用
 知的財産部にとって,部員の知財能力の評価・測定は人材育成の課題の1つである。従来の評価は,各部員の能力やキャリアに応じて,それぞれのレベルや到達点を検討する,いわば「個人目標」型だった。だが,どの程度の客観性があるのかという問題や,他者と比較してどの程度かといった評価ができないという問題がある。そのため,客観的な指標や相対的な評価システムをいかに構築するかを検討してきた。
 こうした理由から,知的財産検定の構想を知ったときは大賛成だった。そして,知的財産部員のレベル・チェックとして活用することにした。
 第1回検定は,知的財産部員のうち30名が2級を受検して全員合格した。私は検定委員を務めているが,企業の知財部門の長として見ても,検定は大変良かったと思う。第2回検定も引き続き利用し,約20名が受検する予定である。
 知的財産検定は有効なツールであるがゆえに,更に望みたい点がある。それは,継続的な評価や能力を測定できる仕組みである。級の認定制ということで,1度合格した者はまず全員が次の級を受けることになる。そこで,級に関係なく,例えば得点などで定期的に能力を測ることができる仕組みも合わせてあれば,企業としては非常に有益である。

検定2級は基礎知識習得の足がかりに
 当社では,知財戦略をより効果的に進めるために,全社的な知財教育や人材育成の必要性を考えている。知的財産部と比較すると必要な知識や実務能力は当然異なるが,本質はやはり,基礎的な知識を持った上で事業センスを養い,知財に向かい合うことだと考える。具体的には,技術部門など特許を生み出す現場の社員に,知財への意識を是非持ってもらいたい。
 知的財産検定2級は,こうした基礎知識の学習に最適であると考える。検定範囲に業務で直接は関わらない分野が含まれる場合,会社としてどのように推奨すべきかが課題となる。だが逆に言えば,知財に関する必須の知識としてこうした分野も習得してもらうことが,1つの理想型である。

シリーズ - 先進企業による知財人材育成の取り組み
(1)大学へのコンサルティングで知財知識は不可欠 ― 東京三菱銀行・公共法人部 [2004/05/12]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(上) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/14]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(中) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/17]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(下) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/18]
(3)知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(上) ― 東芝・知的財産部 [2004/05/19]
(3)知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(下) ― 東芝・知的財産部 [2004/05/20]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(上) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/24]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(中) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/25]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(下) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/26]
(5)人材育成は知財戦略の要(上) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/02]
(5)人材育成は知財戦略の要(中) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/03]
(5)人材育成は知財戦略の要(下) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/04]
(6)インターネット金融業界は知財競争の時代へ(上) ― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール [2004/06/07]
(6)インターネット金融業界は知財競争の時代へ(下) ― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール [2004/06/08]


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