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シリーズ ― 先進企業の知財戦略と求められる人材像(1) 全社を挙げた知財戦略で競争時代を勝ち抜く(下)― 大成建設・知的財産部 [2004/08/25]
「知財は法律上の課題ではなく技術戦略上の課題である」。大成建設・知的財産部長の大野茂氏はこのように断言する。大成建設は「技術なくして経営なし」という企業姿勢のもと,全社を挙げて知財戦略を進めるべく2003年10月に知財戦略を発表した。知財戦略をいかに進め,激化する競争の中で勝ち抜くか。大成建設が進める取り組みを大野氏に聞いた。(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)
現場こそが知財戦略の最前線 知財戦略の重点項目の1つとして,「知財意識の向上と人材の育成」を掲げた。ここで対象にしているのは全社員である。全社員が知財への意識を持つことが重要である。 一般に,知財先進企業は知財部や関係部門だけではなく,全社員が知財に対して高い意識をもっている。全社員が知財という観点を持つことで,従来の業務現場が知財戦略の最前線になる。建設工事を請け負う建設業者が数社共同で事業を行う共同企業体(ジョイント・ベンチャ)の場合,他社に技術が漏れないようしたり,他社の技術を侵害しないように注意したりする必要がある。あるいは,営業部門の社員が,コンペなどの場で権利化されていない当社技術を他社に漏らしたり,逆に他社による侵害を見付けるケースもある。これらは企業のコンプライアンスやリスク管理に大きく係わる要素でもある。 2004年度は全社的な知財教育を拡充 全社的な知財教育として,人事部の行う定時研修の中に組み込んでいる。2003年度の実績でいえば,定時研修に加えて全国の支店単位での研修や勉強会で,私や知的財産部員が講義を行った。また,所長の研修や本社での部長会の研修で知財を扱った。さらに,入社7年目の特定分野の専門技術者を対象とした研修でも知財を扱っている。こうした取り組みを2004年度は強化し,新たに知財戦略に基づいた教育カリキュラムの策定などを進める予定である。 当社は,本社の営業社員を対象にした勉強会を毎月土曜日に開催している。基本は自主参加であるが,常時200〜300名が出席して,社内の技術を学んでいる。先日,この勉強会で知的財産を扱った。今後,こうした場も教育機会として積極的に利用する。 職務発明に関わる社内規程を2002年に改定 知財戦略の策定とは別に,当社は2002年に職務発明に関わる社内規程を改定した。非常に早い時期から当社は社内規程を整備していたが,一部に個別に運用される部分があった。そこで,公平性・合法性を高めるために細部まで明文化を図った。 当社は,こうした規程の整備や内容の充実を自負してきた。例えば最近,いくつかの企業が発明補償金の上限額を撤廃したと報道されたが,当社はそもそも上限を設定していなかった。2004年の特許法改正に伴って,労使間の協議体制を整備するなど改正事項に沿った対応が若干必要であるが,基本は2002年の改定で十分満たしている。 職務発明を含めて知財に関連した最近の社会動向は,社員の関心を喚起しているようである。社内の知財戦略と共に,こうした動きが社員の意識向上につながることを期待したい。 |
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