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武田薬品工業の知的財産戦略(上) 医薬品の成否は1つの基本特許で決まる ![]() [2004/07/20]
武田薬品工業常務取締役・知的財産部長の秋元浩氏は,このほど開催された「企業経営と知財マネジメントの実際」と題するセミナー(主催:インテクストラ)で,「企業経営と知財情報戦略」について講演した。医薬品事業において,特許が製品開発に与える影響が大きいこと,研究開発に多大な期間と投資とリスクが必要であることを,秋元氏は強調した。 (まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集) 医療用医薬品が世界戦略の要 武田薬品工業は「優れた医薬品の創出を通じて世界の人々の健康と医療の未来に貢献する」という企業理念に基づき,米国,欧州,アジアに事業所を置いて,医療用医薬品を世界戦略製品として提供している(表1)。 表1:医療用医薬品の主力製品
特許が製品の成否を握る 医薬品事業では,特許が製品開発に与える影響は非常に大きい。 産業分野が異なると,製品の特許保護イメージは大きく異なる。自動車や家電などの場合,1製品当たり,数百から数千の特許が存在する。1つの特許が持つ影響力は小さく,特許の存在が製品の開発を妨げる可能性は低い。これに対して,医薬品の場合,製品の基本特許は,原則として1つであり,導入する場合には高額なライセンス料が発生する。製品の成否は,基本特許にかかっているため,特許の取得状況によって製品化を断念するケースがある。 莫大な費用とリスクを負う新薬開発 医薬品事業の特徴として,創薬から製造承認申請に至るR&Dが平均15〜17年程度と長期間にわたることが挙げられる。その内訳は,(1)創薬段階で2〜3年,(2)前臨床で3〜5年,(3)臨床(知験)で3〜7年,(4)製造承認申請で1〜2年である。さらに,これだけの期間をかけても開発が成功する確率は低い。(1)の時点で平均的に3万分の1,そして(3)の時点においてでさえ,5分の1である。加えて,これらのR&Dには多大な投資が必要となる。 ジェネリック薬は新薬開発に脅威 武田薬品工業にとって目下の懸案は,ジェネリック(GE)薬である。GE薬とは,特許が切れた新薬をコピーしたもので,新薬同様,医療用医薬品である。GE薬は,研究開発投資がほとんど不要であり,新薬に比べると製造承認のハードルが低い。生産技術の難易度も低く,大規模な設備投資が不要である。当然,GE薬の参入を許すと新薬の開発は苦しい状況に置かれる。 現状,新薬のライフサイクルが約10年であるのは,GE薬の参入が大きく影響している。新薬のライフサイクル・マネジメントでは,(a)先発権,(b)特許による保護,(c)効能や剤形の追加や合剤,(d)情報活動,が主な取り組み要因となる。こうしたライフサイクルを考慮に入れながら,新薬の開発では,R&Dを継続的に進め,新製品を市場に出していく必要がある。(次回へ続く) |
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