日経BP知財Awareness

日経BP知財Awareness トップページへ 企業経営関連記事へ CIPO関連記事へ 政策・法制関連記事へ 訴訟関連記事へ 職務発明関連記事へ

人材育成関連記事へ 産学連携関連記事へ 提言関連記事へ 技術&事業シーズ ニュースリリース イベント・セミナー情報

Article - 記事

シリーズ ― 先進企業による知財人材育成の取り組み(3)
知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(上) ― 東芝・知的財産部
[2004/05/19]

 2004年,東芝はグループ全体として知財戦略の3カ年計画をスタートした。計画は,従来の知財戦略を超え,事業戦略ならびに研究開発戦略との三位一体をより明確にした形になっている。この計画を立案,統括する同社知的財産部長の加藤泰助氏は,カギとして知財パーソンの「事業と技術の将来を見極める目」の育養を挙げる。加藤氏に,東芝が進める新たな知財戦略の方向性と人材育成の見通しを聞いた。
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

3カ年計画で進めるグループ知財戦略
 東芝グループ全体の知的財産戦略の柱として,2004年から3カ年計画を推進している。この計画の主な目標は,以下の3つである。
 第1は,出願戦略である。この中で,海外,特に米国と中国における特許出願を拡充する。この数年,当社は海外での特許出願を増やしてきた。この動きをさらに強める。具体的には,2003年度に米国で約2,000件,中国で約600件だった特許出願件数を,2006年までにそれぞれ約3,000件,約900件に引き上げる。さらに,出願分野の重点化について検討を加える。米国,中国とも,デジタル技術や半導体技術に関連した成長分野や将来のマーケットを考慮した重要商品の出願を重視し,特許力強化を図る。
 国内では,質を重視した特許出願に向けた体制作りを進める。当社が2003年に特許出願したのは約6,000件,特許登録は約3,000件だった。「選択と集中」の観点から国内出願を厳選し,効率を高めていく。目標として,2006年には登録件数は現状数を維持しつつ,出願件数を約5,000件まで削減する。
東芝・知的財産部長 加藤泰助氏

東芝・知的財産部長
加藤泰助氏
 第2は,活用戦略である。従来のライセンス戦略では,他社にライセンスして収益に貢献したり,あるいは他社とクロス・ライセンスを行い事業の自由度を確保してきた。これに加えて,事業の優位性を確保するための知財の活用に注力する。
 事業の優位性の確保は,当社独自技術による製品化を行い,知財を活用して他社からの参入を防止することで達成する。このため,事業戦略,研究開発戦略に基づいて,新規参入を防止する必要がある当社独自技術やノウハウを抽出する。こうした技術に関しては,技術情報の流出を防止する観点からも,コア技術自体は特許化せずに秘密性を保持しつつ,周辺技術を特許化する。これにより,当社独自技術の囲い込み戦略を推進し,他社との差異化・差別化を図り,事業の優位性を確保していく。
 第3は,知財管理である。今後,東芝グループ一体の知財管理を推進し,さらに,知財指標等の活用により,知財組織・管理の効率化を追求していく。

本社・知財部とカンパニー部門で知財業務を分業
 当社の知財担当部門の構成は,全体組織の形を反映したものとなっている。現在,当社は事業分野ごとに独立性を高めるカンパニー制の導入を進めて,本社を軸として6カンパニーと2統括から成る体制を採っている。そのため,知財担当部門は(1)本社・知的財産部と(2)各カンパニーの知財部門に分けている。所属する社員数は,知的財産部に40名,カンパニー全体に約200名である。約80%強は知財業務を専門に行ってきたスペシャリストである。
 知的財産部は主に,(a)全社規模の知財施策の策定・推進,(b)知財契約・係争対応,(c)特許出願管理,特許情報管理,(d)商標・意匠,(e)デジタル著作権管理などを担当する。
 一方,各カンパニーの知財部門は,各カンパニーの事業戦略・研究開発戦略に沿った知財戦略を立案・推進する。事業戦略や研究開発戦略は,個々のカンパニーで大きく異なる。そこで,当社では分散体制を取っている。各カンパニーの知財部門は通常,統括技師長の下で事業や研究開発に密着した知財関連業務を担当する。
 組織としての今後の課題は,本社の知的財産部と各カンパニーの知財担当部門,あるいはカンパニー間の協力体制を築いて東芝の総合力,つまり東芝ブランドの強みや連携によるシナジー効果を維持・強化することである。組織や業務が異なってもグループとして共通の目標を持ち,連携しなくてはならない。

シリーズ - 先進企業による知財人材育成の取り組み
(1)大学へのコンサルティングで知財知識は不可欠 ― 東京三菱銀行・公共法人部 [2004/05/12]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(上) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/14]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(中) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/17]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(下) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/18]
(3)知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(上) ― 東芝・知的財産部 [2004/05/19]
(3)知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(下) ― 東芝・知的財産部 [2004/05/20]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(上) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/24]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(中) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/25]
(5)人材育成は知財戦略の要(上) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/02]
(5)人材育成は知財戦略の要(中) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/03]
(5)人材育成は知財戦略の要(下) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/04]
(6)インターネット金融業界は知財競争の時代へ(上) ― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール [2004/06/07]
(6)インターネット金融業界は知財競争の時代へ(下) ― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール [2004/06/08]


求む、即戦力!特許翻訳者募集

サイト内検索

広告欄

CIPO
CIPO
【特別座談会】 特別座談会
環境技術移転に有効な「WIPO-Green」が始動
〜このままでは日本企業は勝ち残れない

知財ナビ

知財パーソン 知財パーソンの履歴書
知的財産管理技能士から,
知財人材の様々な人物像に迫る


佐原雅史氏(株式会社ブライナ 代表) 知財で働く
第20回
「特許業界への憧れと転職」


米国知財レター

前川有希子の米国特許Insight

永澤亜希子のパリ発・フランス知財戦略
<過去の連載>
シリーズ:新規事業開拓と知的財産

藤森涼恵の知財show me the money

日高賢治の中国知財最前線

柴田英寿のアントレプレナーシップ論 オープンスクール



日経BP社 TechnoAssociates, Inc.