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知的財産部長の加藤泰助氏に聞く(上) 自社の「強み」を引き出す東芝の新たな知財戦略 [2005/04/12]
この20年近くの間,各企業の知的財産部は経営に資することを標榜してきたが,実際に経営に参画してきた知的財産部長は全産業分野を見渡しても,ほんの一握りに過ぎない。時を同じくして情報システム部門が多くの企業において社長直轄の戦略部門化した状況とはあまりに対照的である。しかし,小泉首相自らが「知的財産立国」を主張したことを機に,経営視点から知的財産問題をとらえる力を持った知的財産部長が現れてきた。「深い穴を掘るには広い穴を掘る必要がある」が,経営を含む広く深い穴を掘れる人材が出てきた。今回は,その1人といえる東芝・知的財産部長,加藤泰助氏に知財戦略の全体像を聞いた。 (聞き手は久保田茂夫=日経BP知財Awareness編集委員, まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集)
2005年は,特に知財管理の強化に注力する。具体的には,グループ内での管理に加えて,競合他社に対しては,訴訟を含めた幅広い選択肢をもって東芝として毅然とした姿勢を明確に打ち出したい。 以上に加えて,2004年に引き続いて東アジア,具体的には中国における特許出願の強化を主軸として知財戦略を積極的に展開する。海賊版・模倣品への対応は,従来からエンフォースメント(権利行使)に力を入れてきており,一定の成果を挙げている。最近は,他社への技術援助行為,退職などによる技術流出が問題になっている。これに対して先端技術など当社の核となる技術の流出を知的財産で如何に保護していくかが,企業戦略においては重要な視点となっている。 「経営的視点を欠かせない業務が急増している」 東芝グループはカンパニー制を採用しており,6カンパニー,2統括と他に多数の分社会社,関係会社がある。これらの組織が東芝グループとして有機的に活動するためには,本社機能を軸としたグループ間の連携が必須である。知財業務も同様であり,本社の知的財産部は各カンパニーの知財部門と連携しつつ,グループ全体としての知財業務を統括している。 最近の知財業務では,経営的な視点に基づく判断や,経営陣に対する意見の具申が必要になる場面が急増した。この傾向は本社の知的財産部も,カンパニーの知財部門も同じである。 その際に最も重要な業務は,本社の場合はグループの全事業を,カンパニーの場合は各事業をベースとする知的財産の「ポートフォリオ」を組成することである。東芝では,これらのポートフォリオを元にしてグループ全体の経営戦略を検討している。 例を挙げると,DVD,NAND型フラッシュ・メモリーなどの事業では,「強み」である基本特許を中心にする特許群を定期的に検証し,事業,研究開発,知財権利化といった各フェイズの戦略を総合的に検討している。言い換えれば,これは知財を手がかりに「東芝らしさ」を追求する作業である。(次回へ続く) |
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