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知的財産部長の加藤泰助氏に聞く(中)
「専門部署」から脱皮し「全社コーディネータ」へ
[2005/04/14]

東芝・知的財産部長 加藤泰助氏  この20年近くの間,各企業の知的財産部は経営に資することを標榜してきたが,実際に経営に参画してきた知的財産部長は全産業分野を見渡しても,ほんの一握りに過ぎない。時を同じくして情報システム部門が多くの企業において社長直轄の戦略部門化した状況とはあまりに対照的である。しかし,小泉首相自らが「知的財産立国」を主張したことを機に,経営視点から知的財産問題をとらえる力を持った知的財産部長が現れてきた。「深い穴を掘るには広い穴を掘る必要がある」が,経営を含む広く深い穴を掘れる人材が出てきた。今回は,その1人といえる東芝・知的財産部長,加藤泰助氏に知財戦略の全体像を聞いた。
(聞き手は久保田茂夫=日経BP知財Awareness編集委員,
まとめは河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

「知財業務の拡大」が新たな課題に
 企業経営における知財の重要性が高まるに従って,知財に関わる業務は大きく多様化している。例えば,特許出願は現在も知財戦略上の大きな柱であるが,新たな戦術として,戦略的にノウハウや営業秘密を活用する「ブラックボックス化」の機会が多くなってきた。こうしたブラックボックス化した情報の流出防止が新たな課題として浮上している。具体的には,(a)コンプライアンス(法令遵守)を含む社内のリスク管理の強化,(b)NDA(秘密保持契約)などの契約実務の強化,を進めている。

「“知財”はいまや知財部だけの課題ではない」
 東芝グループにおいて,知的財産はいまや知財部だけの課題に留まらなくなっている。
 ノウハウや営業秘密の活用に関して例を示すと,契約に至るまでは企業間の交渉に大きな意味があり,実務上は法務部門の役割が重要になる。契約後は,社内における機密管理が重要になり,そこでは総務・人事といった管理部門の果たす役割が重要になる。各カンパニーの生産現場における従業員のモラル(規範)の向上にまで関わる問題だからである。
 このため,知的財産部は各部門への支援と連携を重視している。従来の「本社とカンパニー間の「縦型の連携」に加えて,他部門との「横型の連携」も必要になってきた。その目的は,東芝グループ全体の「知的創造サイクル」をいかに大きく回すか,ということである。それゆえ,単なる部門長としてではなく,東芝グループの知財を統括する立場としての判断と行動が必要であると自覚している。

「情報発信」は新たな知財戦略キーワードの1つ
 東芝グループの知的創造サイクルを大きく回す中では,社内・社外両方に対して知財部門から情報を積極的に発信する必要性を感じるようになった。率直に言えば知財業務は複雑で専門性が高いため,従来の情報発信は限定的であった。しかし,今後は広報・IRの観点,あるいは説明責任の観点から,より多くの人々に「東芝の知財」を知ってもらわなくてはならない。社内的には広報部と連携して,知的財産部として積極的に情報の発信に取り組みたい。(次回へ続く


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