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先進企業の知財戦略と求められる人材像(6)
独創的なビジネスを知財で守るベンチャー企業
株式会社ガイアックス・知財戦略室(上)
[2004/10/04]

 インターネット上で会員同士が交流を図る空間,「コミュニティ」構築ビジネスの先駆者であるガイアックス。同社は新しいアイデアや技術を生かした事業を展開する一方,そうした知財を重視した戦略を創業当時から採ってきた。最近は,インターネットの普及で事業規模が拡大して,他者との競争も激化している。「パイオニアとして,技術や事業ノウハウなど守るべき部分を明確にして競争に臨む」。社長の上田祐司氏はこう強調する。知財を通して事業強化を図る経営姿勢について,上田氏と同社・知財戦略室長の大倉康弘氏に聞いた。
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

株式会社ガイアックス 代表取締役 上田祐司氏(右)/知財戦略室長 大倉康弘氏(左)

株式会社ガイアックス
代表取締役 上田祐司氏(右)
知財戦略室長 大倉康弘氏(左)

「コミュニティ・サービス」でトップを走るベンチャー


 当社は1999年の創業以来,一貫してコミュニティ・サービスを事業として軌道に乗せることに努めてきた。コミュニティ・サービスとは,インターネット上で会員同士がホームページや掲示板などを使って情報を交換したりコミュニケーションを取り合ったりする「ツール」と「場」の提供である。具体的には,(1)コミュニティの仮想空間で自分を示す分身キャラクタである「アバター」,(2)簡単に書き込みができて日記感覚でホームページを持つことができる「個人ホームページ」,これらをはじめとしたサービスを展開している。
 インターネットの急速な普及が追い風になり,コミュニティ・サービスはこの数年間で事業として確かな手応えを感じられるようになってきた。事業としての可能性が認知されて,最近は同様のサービスを提供する企業が増えている。今まさに,「コミュニティ・サービス業界」が姿を現しつつあるといえよう。
 この新しい業界において,当社はすでにビジネス・モデルを確立したパイオニアだ。一方,競合他社の多くは業界に参入したばかりでモデルを模索している段階である。コミュニティ・サービス業界で現状の優位性を保ち続けて,トップの地位を確保するにことが現状における至上命題である。「業界のトップを走っている」と自負すると同時に,当社にはより一層の成長と安定を目指すべきベンチャーとしての側面がある。そのためには,当社が独自に創り上げた技術や事業ノウハウなど「守るべき部分」を明確にして,競争に臨むことが不可欠である。


 具体的には,特許出願が主な取り組みである。当社が最初に特許を出願したのは2000年である。2004年7月時点で出願している特許は,公開中の12件含めて約30件である。特にこの1年間は出願数が急増している。特許の内容は,コミュニティ・サービス向けのWebサイト上の機能,例えば決済機能などに関するアイデアである。
 当社はこれらの知財を1年程前から経営戦略の課題として検討するようになり,その結果,2004年7月に「知財戦略室」を設けることになった。
「業界での地位確立」が知財戦略の目的


 当社が目指す知財戦略は,あくまで事業の強化が主目的である。クライアントとの交渉やコンペの時に,訴求点あるいは競合に対する差異化のポイントとして,特許は有効なツールになる。
 理想は,コミュニティ・サービス業界で使われる技術のうちの絶対的な数量を権利化することである。関連技術はさほど多くないので,多くを押さえることも非現実的なことではない。目的は,競合他社に「コミュニティ・サービス業界の特許はガイアックスがすべて押さえているに違いない」と思わせるような状況を創り出すことである。言い換えれば,「コミュニティ・サービス業界のパイオニアで随一の技術力を誇る会社=ガイアックス」というブランドの醸成である。「まだまだ新しい技術があるに違いない」と思わせるレベルでは意味がない。
 ライセンシーなど,特許自体で収益を得ることは念頭にない。コミュニティ・サービス業界では,単独で収益を得るほどの特許はなかなか存在しない。加えて,コミュニティ・サービス業界における技術の位置付けは,「不可欠な要素ではあるが主要素ではない」というものである。顧客の満足度は,もっと表面的なサービスに左右される場合が多い。これは,広くサービス業界においても共通の状況と言えるだろう。
次回へ続く


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