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先進企業の知財戦略と求められる人材像(6)
知財知識は全社員に不可欠なビジネス・スキル
株式会社ガイアックス・知財戦略室(下)
[2004/10/06]

 「経営企画から営業,カスタマー・サポートと広い業務領域で知財を相手にする当社では,知財知識は全社員に不可欠なビジネス・スキルだ」。インターネット上で会員同士が交流を図る「コミュニティ」構築ビジネスの先駆者,ガイアックスの社長・上田祐司氏はこう指摘する。知財戦略と人材育成のあり方について,上田氏と同社・知財戦略室長の大倉康弘氏に聞いた。
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

株式会社ガイアックス 代表取締役 上田祐司氏(右)/知財戦略室長 大倉康弘氏(左)

株式会社ガイアックス
代表取締役 上田祐司氏(右)
知財戦略室長 大倉康弘氏(左)

ビジネス現場のアイデアを基に特許出願


 知財戦略室として知財に関する業務は,業務ごとに他のスタッフと共同で取り組んだり,プロジェクト・チームを組んだりする。主な業務は,特許および商標出願と社内における知財戦略の策定である。商標等の管理や著作権関係の業務など,知財関連業務は各部門が兼務で当たっている。これらの業務を私が統括して管理する。
 特許出願は,システム開発やカスタマー・サポートを担当する社員から私が直接アイデアを聞き,それを基に顧問弁理士に相談して明細書の作成を依頼する。私が明細書の原案を書く場合もある。私自身,入社した時はシステム開発とカスタマー・サポートを担当していた。システムおよびプログラミング技術と開発業務フローを把握しているので,話を聞けばアイデアの核になる部分の概要は理解できる。
著作権に関する業務が急増


 最近,知財に関する業務で,著作権に関する顧客からの問い合わせへの対応が急増している。例えば,当社のコミュニティを利用している顧客から,自らが制作したホームページに関して「第3者が描いたキャラクタや撮影した写真を掲載したいのだが,著作権は問題になるだろうか」といった質問が数多く寄せられている。カスタマー・サポート担当者が質問に応答しているが,著作権法の込み入った知識を要する質問が少なくない。そこで,担当者には著作権に関連する知識を学ばせたり,あるいは参考書籍を薦めたりして指導している。個人の利用者レベルでも,著作権に関する知財意識が芽生えている表れと見る。こうした状況から,著作権に関する対応業務は,当社にとって新たな知財業務の1つと認識し,今後注力しなければならないと考えている。
社長自らが「知的財産検定」を受検


 現在,知財戦略の一環として,知財をテーマにした社員教育のプログラム策定を検討している。目標は,会社全体で取り組むことである。
 知財について,私は独学で学んできた。そうして体得した知識や参考になる書籍や資料を体系立ててまとめ,会社全体で共有できれば良いと考えている。さらに業務の中で関わった知財に関する事例についても,同様に社員間で共有できる体制を整えたい。
 最近,職務発明問題など社会的に知財へ注目が集まる状況で,当社の社員もこうした世の中の動向を通じて知財に興味を持ち,自分たちの業務と知財の関係性を意識するようになったと感じる。このように知財への意識や関心を高めることは,社員教育の第1歩であるとともに非常に大切な取り組みだと考える。
 教育の1アイテムとして,2004年に「知的財産検定」を企業として受検している。当社の場合,特許,商標,著作権の各分野の知識がすべて必要であり,これらを総合的に学べる点を評価している。設問がケーススタディ形式で実務的である点も良い。検定は上田社長が自ら率先して受検した。現在,社長と私,もう1名が2級の認定を受けている。私は次回2004年11月の検定で1級を受検する予定である。


 これまでは,希望した者で検定を受検してきた。経営者の立場から見れば,全社員が受検しても良いだろう。当社は,経営の企画から営業,カスタマー・サポートと,実に広い業務領域で知財を扱う機会が多い。知財知識は,全社員に不可欠なビジネス・スキルとして位置付けられる。私も,2級が問う知識レベルは経営者として必須であると考えて受検した。
 私は知的財産検定を受検する際,その意義について知財を学習することが第1であり,試験は腕だめし,あるいは確認作業だと考えた。これは社員にも当てはまる。2級は,私が社員に身に付けて欲しいと考える知識レベルより若干高いところに位置する。それゆえ,学習目標として内容的にちょうど良い。級の認定されたか否かはさほど重視しないので,社員には知的財産検定をきっかけにして知財の専門性を高め,そこから新しい感覚を持って業務に向かい合うことを期待している。
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