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シリーズ ― 先進企業による知財人材育成の取り組み(6)
インターネット金融業界は知財競争の時代へ
― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール(下)

[2004/06/08]


ソフトバンク・ファイナンス
法務部マネージャー
井藤敏正氏
 インターネット金融業界で知財をめぐる攻防が激化している。インターネットという同じ土俵上で勝ち抜くには,独創的なアイデアに基づく新サービスが切り札になる。「ビジネス・モデルを権利化できるかどうかが企業の命運を左右する」。ソフトバンク・ファイナンス法務部マネージャーの井藤敏正氏と,同社のグループ会社であるファイナンス・オール住宅ローン事業統括取締役の円山法昭氏は,一致した見解を示す。競争時代を迎え,同グループが進めるビジネス・モデルの権利化とそのための知財人材の育成を,両氏に聞いた。
(聞き手は河井貴之=日経BP知財Awareness編集)

ファイナンス・オール
住宅ローン事業
統括取締役
円山法昭氏

グループ企業の経営陣にも知財教育を実施


 知財を扱うようになって以来,私をはじめそれまで知財業務に携わった経験がなかった社員は,社外セミナーを使用したり自主的に学習したりして,知財知識の習得に励んだ
 基本的に,法務部では資格取得や社外学習などを強制はしない。しかし,各社員が必要に応じてセミナーや通信教育などを利用し,専門知識を研鑽しようとする場合,業務に有益と認められれば費用を含めて援助する。各部員が得た学習成果は,定期的にミーティングなどで発表させて,部として共有している。このほか,製造業で知的財産部に在籍していた人材を中途採用するなどして,知財人材を拡充してきた。
 グループ全社員の知財意識の向上を図るため,先に述べたコンサルティングの過程で「知財戦略セミナー」を社内で開催した。加えて,グループ会社の経営陣やビジネス・モデル発案者に,特許,商標等の知財やNDAへの意識を高める指導を行っている。


 以前,ある専門誌のインタビューで自分のビジネス・アイデアを話したところ,「新規性」を失ってしまい,そのアイデアを特許化できなくなるかもしれなかった,危うい経験がある。結果的には,法務部と弁理士に相談し一定の手続きをとることで特許出願することができたのだが,特許出願に関する知識がいかに重要かを感じた。逆のケースで,あるとき会議で提携相手に新しいアイデアを話したが,そこでは予めNDAを締結していたために新規性を守ることができた経験がある。
われわれの仕事の場合,技術そのものではなく,ビジネス上のアイデアが知財につながることが多い。こうした日常の場面でも知財を意識しなくてはならない。

実務に即した良問が多かった知的財産検定


 法務部にとって知財とは業務上の1分野であり,商法や民法その他経済法等のビジネス法務関連の業務と兼任で対応している。そのため,従来は知財を集中的,体系的に習得する機会を持てていなかった。独学しようとしても,知識的,モチベーション的に限界がある。何か良い学習方法はないかと模索していたところ,「知的財産検定」を知った。
 知的財産検定は,包括的に知財を学ぶことができる点と,試験と級認定を行う点に魅力がある。試験があると,やはり「勉強しなくては」という気になる。
 実際に知的財産検定を受検して感じたのは,実務に即した良問が多かったということである。「知財に関わる第一線の弁護士や弁理士が問題を作成,監修しているだけのことはあるな」と思った。これは,物差しとして知的財産検定を信頼できる理由でもある。
 個人的意見としては,法務部員は全員が知的財産検定を受検してもいいと考える。まず,知財に関する基礎知識を固めるところから始めればよい。


 われわれ事業会社側では,経営の最前線にいる役員やプロジェクト・マネージャーが2級程度の知識を取得するべきだと考える。事業において,メリットだけではなくリスクも意識して知財を考えなくてはならない場面が増えている。こうした場合,意思決定を行う責任者こそ,決定の確実な裏付けとして一定の知財知識が不可欠である。

シリーズ - 先進企業による知財人材育成の取り組み
(1)大学へのコンサルティングで知財知識は不可欠 ― 東京三菱銀行・公共法人部 [2004/05/12]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(上) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/14]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(中) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/17]
(2)「知財立社」を担う実務型人材を育成(下) ― 味の素 知的財産センター [2004/05/18]
(3)知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(上) ― 東芝・知的財産部 [2004/05/19]
(3)知財パーソンは事業と技術の将来を見極める目を持て(下) ― 東芝・知的財産部 [2004/05/20]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(上) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/24]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(中) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/25]
(4)「強い特許」の創出が知財パーソンの使命(下) ― パイオニア・知的財産部 [2004/05/26]
(5)人材育成は知財戦略の要(上) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/02]
(5)人材育成は知財戦略の要(中) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/03]
(5)人材育成は知財戦略の要(下) ― 三菱重工業・知的財産部 [2004/06/04]
(6)インターネット金融業界は知財競争の時代へ(上) ― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール [2004/06/07]
(6)インターネット金融業界は知財競争の時代へ(下) ― ソフトバンク・ファイナンス/ファイナンス・オール [2004/06/08]


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